2014年10月号

MPDの本棚

革新的イノベーションの源泉とは チームでの「協創」が鍵

前野隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授)

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「イノベーション」を起こせるアイデアの条件は何か。1つ目は見たことも聞いたこともないこと、2つ目は実現が可能なこと、そして3つ目は物議を醸すことと、『システム×デザイン思考で世界を変える』の冒頭に書かれている。

システム×デザイン思考で世界を変える
前野 隆司(編著)
本体1,800円+税/日経BP社

日本では技術に基づく、改良型のイノベーションはこれまで行われてきた。編著者の前野隆司氏は「これから必要なのは、ゼロからの発想。これまで市場になかったような新しい製品やサービスを生み出す『革新的イノベーション』が求められている」と語る。

この書籍では、物事をシステムとしてとらえる「システム思考」と、チームでの協創やオブザベーション、プロトタイピングを重視する「デザイン思考」とを融合させる新しい学問となる『システムデザイン・マネジメント』の考え方と手法を紹介している。

チームでの“協創”が鍵

日本の企業の多くは技術力や品質に自信を持っている。しかし、社会で必要とされている本質的な価値を理解し、イノベーティブな商品に結び付けられる企業はわずかだ。大企業では組織形態や仕事のやり方が制度疲労に陥り、革新的なアイデアを持っている社員の力を引き出せる環境がない、いわゆる大企業病の悩みを抱えている。

「イノベーションを起こすのに重要なのは、それを生み出す人と組織です。発想と熱意をもった人がいて、異能な人材が集まって“協創”する組織がつくれることが求められています」

この書籍では、もの・こと・組織・人を創り出すデザインにもとづくイノベーションの実現を提唱している。『システムとしてデザインし、マネジメントも刷新する』というやり方だ。顧客が真に求めている価値を発見し、使う側の価値にもとづいたデザインを創出することができる。

「イノベーションはハイリスク・ハイリターンです。イノベーションをやり遂げるための源泉は何か。その1つは、情熱です。社会問題への義憤、正義感、利他心のような俯瞰的な心が、情熱の軸となっています。『世の中を変えたい』『よりよい世界を創りたい』『今のままではダメだ』という熱い思いこそがイノベーションを生み出します」

イノベーションのための方法論や手法をシステマティックに使いこなし、一方でそれを成し遂げる情熱を持っていること。この両者のバランスが大切だ。

事業構想において、イノベーションを起こすことは全ての過程で必要とされる。特に社会課題を把握し、次なる新規事業のアイデアを出す「発・着・想」の段階でヒントを得られる一冊である。

前野 隆司(まえの・たかし)
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授
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