超小型衛星が広げるフィールド

気候変動による影響は、水不足だけでなく、異常気象などさまざま所に現れる。こうした地球の変化を観測できる人工衛星は近年急速な進化を遂げている。特に安価な超小型衛星は、水ビジネスの領域を広げる可能性を秘めている。

気候変動によって出現した北極海航路。日本-ヨーロッパ間の航行距離が3分の2になる

地球の表面の70%は水で覆われている。人工衛星は、人の目や地表面からは捉えきることのできないその変化を、空高くから監視することができる。

「人工衛星は研究者が使うものというイメージが強いですが、現在では、衛星のビジネス利用が急速に広がり、企業が自社衛星を持つなどの事例も増えています」と話すのは、アクセルスペース代表取締役の中村友哉氏。同社は東京大学の学生発ベンチャーで、日本の超小型衛星市場を切り拓いてきたパイオニアである。

衛星の小型化と高精度化でビジネス利用が増加

衛星の事業利用が増えている背景には、大きく2つの理由がある。

中村友哉 アクセルスペース 代表取締役 CEO

まずは、アクセルスペースに代表されるような超小型衛星が登場したこと。「小型衛星の利点は、開発期間が短いことと、コストが小さいことです。大型衛星の開発は最低5年、長いもので10年かかりますが、ビジネス利用を考えると、10年というサイクルはありえない。小型衛星は1-2年の開発期間ですみます。また、大型衛星のコストはどんなに安くても100億円します。我々の目標はそれを100分の1にすること。ヘリコプター1機を買うのと同じ投資で、自分たちの衛星を持つことができます。これならば経営判断上、十分ありえる金額です」

もうひとつはカメラ精度やセンシング技術の進化だ。2009年に東京大学が打ち上げたPRISM衛星は、重さ8キログラムの超小型ながら、望遠鏡の筒を伸ばす技術を搭載し、1ピクセル当たり30mの分解能を持つ。これは1970年代にNASAが打ち上げた衛星の分解能に匹敵する。

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