雨水ビジネスは「温故知新」から

途上国の生活環境を改善するだけでなく、都市における循環型システム形成や災害への備えとしても注目を集める「雨水利用」。その先駆者である村瀬誠氏は、現在バングラデシュでソーシャルビジネスを展開。「天水」の可能性を追い求めている。

村瀬誠氏とSkyWater Bangladeshの社員たち。雨水タンクはBOPビジネスの成功例として注目されている

2050年には世界人口が90億人になると予想され、渇水と汚水が深刻化するとの懸念がある。「汚水を浄化処理すればいい」という先進国の考えも、エネルギー枯渇の現代には疑問が生じてきた。そんな中、世界的に注目を集めているのが「雨水利用」だ。

「海や川や池の水が蒸発して空に持ち上げられ、冷えて降ってくる。ある意味『蒸留水』のようなものです。しかも、貧しい人にもお金持ちの人にも平等に降る。最後に残された安全な水源が『雨水=天水』だと思っています」

そう語るのは村瀬誠氏。「ドクター雨水」と呼ばれるソーシャルアントレプレナーだ。

流せば災害 溜めれば資源

村瀬 誠 天水研究所 代表取締役

村瀬誠氏が雨水利用と向き合ったのは1981年。大学院で薬学を学び、1976年から墨田区の保健所の衛生監視員として働いていた。当時、区内では大雨が降るたびに下水道から下水が逆流し、地下に設置されたマンションなどの貯水タンクが汚染。その苦情が保健所へ寄せられていた。

「普通の職員なら『私ではなく管轄である東京都に言ってください』で済ませているでしょうが、そうは思わなかった。困った人を見ると放っておけない、私自身のヒューマンスピリットかもしれません」

研究グループを組織して調査してみると、墨田区以外でも、新宿区、千代田区、練馬区など、洪水とは無縁の地に洪水が起こるようになっていた。

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