成長を支える組織のつくり方

創業も間もないベンチャー経営者、革新的な老舗経営者は、新規事業開発にまい進する。売上が伸び、企業の規模が拡大したにも関わらず、社員がついてこないことが起こる。経営者の真意を社員に伝え、「強い組織をつくるコツ」を紹介する。

優れた経営者チームは、成長のための必要条件である。しかし、優秀なチーム「だけ」では、成長を支え切ることはできない。成長すれば組織が大きくなり、従業員数が増える。そうなると、成長志向型の経営者の多くが苦手とする「人を育てる」仕事が増え、これをおろそかにすると、組織は崩壊する。決め手は、経営者チームと一般従業員をつなぐ中間管理者の育成である。

「いいちこ」成長の陰の立役者

アルコールに縁遠い人でも、三和酒類株式会社の看板ブランドである「いいちこ」のことを一度は耳にしたことがあるだろう。

1979(昭和54)年に発売されるや否や、その売上はまさにブームという言葉がぴったりの勢いで伸び続けた。販売の翌年に約4億円であったものが、1985(昭和60)年には100億円を突破し、その後は5年ごとに200億円、300億円、そして400億円の大台をクリアしていき、現在は500億円を超えている(図1)。

癖のない、新しいタイプの焼酎であったこと、河北秀也の「広告の世の中だけど噂で飲まれる酒があるミスマッチストーリー」に代表される「駅貼りポスター」、そして下町のナポレオンというネーミングなど、成長はさまざまな要因の組み合わせによって実現した。しかし、ここで注目したいのは、一般にはあまり知られていない重要な出来事、つまり当時大分銀行の中堅職員(当時38歳)であった熊谷敬造(現副社長)の入社である(1992年)。

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