2014年4月号
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営業の真髄

アメリカの権利意識と責任感

神保智一(桜美林大学 特任教授)

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ニューヨーク駐在事務所で最先端の広告マーケティングと向かい合う筆者。情報収集だけでなく、訪問客対応や展示会・イベントサポートなど多岐にわたる業務をこなすなかで、米社会の極端な特徴に触れることになった。

アメリカ人の権利意識

“ダウ・ジョーンズ“の広告に出演 (左手前・筆者)

駐在員事務所の業務は幾つかに代表される。まずは「情報の収集」。今でもある程度言えることだが当時、広告業務については圧倒的にアメリカが進んでいた。従って駐在員事務所としては「マーケティング」、中でも「広告」に関するセオリーや新情報を収集して本社へ報告する。

次が訪問客対応。今と違って当時はアメリカに来てもニューヨークまで、足を延ばす客は意外と少なかった。大抵ロスやサンフランシスコまで来てそこから帰ったりする。したがって東海岸まで来る人はそうたくさんいない。

3番目の業務は「展示会」や「イベント」のサポート。展示会は色々なものがあったが一番多かったのは工業製品やエレクトロニクスに関するもの。中にはセメントで固めた橋梁の展示会等というものもあった。イベントは今と同じように多いのは「ゴルフ」。

その他、CM制作のサポートや珍しい所では「送金代行業務」というのがあった。当時はまだ外国で使用できる外貨枠が少なく得意先に代わってこちらの外貨枠を融通する。私はこれには直接携わることは無かったが面白い業務があったものである。

さて、表題の話であるが日本では中々経験出来ない事例を二つ。最初はアメリカのユニオンというのがいかに強大かを実感した話。あるエレクトロニクスの展示会で展示品の到着が遅れて中々会場に届かない。一体どこで滞っているのかフォローしたが、驚いたことに入国管理から会場まで、色々な業者が担当していて品物がどこにあるのか良く分からない。つまり、陸揚げした後にそれを保管庫まで運ぶ業者、その保管庫から会場まで運ぶ業者、会場の玄関先で品物を受け取って展示コーナーまで運ぶ業者、コーナーでそれを受け取って展示する業者、みな違う。

その時は日本からメーカーのベテラン技術者が二人来ておられたが一切彼等の前では展示物に手を触れられない。彼等の権利を損なうからである。現地人の作業が終わってみな帰った後に全てはずしてやり直し。とにかく大変なのである。それぞれの業者の人達が利権を持っておりそれを乱すと大問題になる。

日本でも多少はあることだがアメリカの権利意識は想像以上に凄いと実感した。しかしこのような経験も無駄にはならない。後年、海外での展示会に随分携わったがこの時の経験が役に立った。

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