コンテンツ力で経済効果を発揮

これまでのオリンピックの中には、開催後に財政赤字に苦しむ国も存在する。東京オリンピックは、日本の景気にどのような影響をもたらすのか。経済産業研究所の中島厚志理事長に話を聞いた。

ロンドンは2012年、オリンピック時期に合わせて国の各地でダンス、音楽、演劇、映画、絵画展など計1000以上のイベントを開催。大きな経済効果をもたらした

過去のオリンピックは、各開催国の経済にどのような影響を与えたのか。1984年のロサンゼルス以降、計8回のデータを集計してみると、平均的には、いわゆる「オリンピック景気」が1年半前頃から始まり、オリンピック終了後も半年ほど好景気が続きます。また、その後は平均的に景気が冷え込んでいます。恐らく2020年も、同じような動きを見せるでしょう。

経済効果は小さく期間も短い

中島厚志 経済産業研究所理事長

ただし、「好景気」といってもその効果は限定的になると思われます。過去8回のオリンピックのうち、主要先進国(アメリカ・イギリス・オーストラリア)、あるいは経済規模が大きな国(アメリカ・中国・イギリス)が開催国となった時には、GDPに与える効果は最大0.3%ほどに過ぎず、効果が持続する期間も短くなっています。これはオリンピック後に反動で景気が落ち込む期間も短くなるということですが、どちらにしても新興国や経済規模の小さな国に比べるとオリンピックの影響は大きくありません。

気をつけなければいけないのは、財政収支への影響です。過去8回のうち、レーガノミクスで財政赤字だったアメリカ(84年)、もともと財政赤字が大きかったスペイン(92年)、ギリシャ(04年)に限り、オリンピック開催前後にかけて財政収支が悪化しました。他の開催国の財政収支は悪化していないので、これは財政規律に欠けていた、無理をしたことが理由に挙げられます。

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