官民で作るデジタル未来都市

東京が2016年大会に立候補した際、日本の先端技術はIOCから高い評価を受けた。最前線でその研究を担ってきた東京大学大学院情報学環の坂村健教授が、2020年に向けた日本が持つテクノロジーの可能性を語る。

2020年、東京はデジタルインフラが整備された未来都市に生まれ変わる可能性がある Ⓒ東京2020 オリンピック・パラリンピック招致委員会

2020年の東京オリンピックは、世界に向けて、日本、東京をプレゼンテーションする場でもある。デジタル先進国の日本が、どのようなテクノロジーで「おもてなし」をしてくれるのか、世界中の人たちが注目するだろう。

その一つのヒントになるのが、日本の情報工学の第一人者である東京大学大学院情報学環教授、坂村健教授らの取組みだ。坂村教授は東京オリンピックに向けて、「デジタル技術を活用し、東京を世界で最も人に優しい、過ごしやすい都市に変貌させる」という目標を掲げ、さまざまな研究開発を行っている。

位置情報インフラが進化

坂村教授が挙げるポイントは3つ。一つは、都市のハイテク化だ。

坂村 健 東京大学大学院情報学環教授

坂村教授のグループは、初めて東京を訪れた外国人旅行者や障碍者、高齢者がスムーズに東京を移動できるように、街中にデジタルインフラを導入する実験を開始している。

「東京都が主体となって、『東京ユビキタス計画』を行っています。銀座の街灯や店舗内に精密住所を書き込んだ電子タグや電子マーカーを内蔵したパネルを設置し、スマホで読めるようにして、さまざまなサービスができる位置情報インフラ構築の実験です。埋設管などの公物管理にも使えますが、サービスは自由で、たとえばそのパネルに触わったり近づくと周辺の店に何があるか、地図、口コミ情報なども出せます。

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