グローバル市場産業構造変化への対応モデル

自動車のモジュール生産革命

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自動車設計革命
長谷川洋三(著)1,785円(税込)/中央公論新社

昨年の日本カー・オブ・ザ・イヤー(JCOTY)にフォルクスワーゲンの「ゴルフ」が外国車として初受賞。近年、同社は韓国の現代自動車と並び、世界市場で地位を上げている。何が起きているのか?11月出版の長谷川洋三著「自動車設計革命」が、この背景と、低迷する日本の製造業のグローバル展開の方向性に示唆を与えてくれる。

内容の中核は「モジュール生産革命」。これまでより圧倒的に多くのモデルの車を、共通のツールキットを用いて設計・生産するシステムである。それを先導するのがフォルクスワーゲンの「MQB」と呼ばれるシステム。

昨年の「ゴルフ」のJCOTY受賞時、トヨタの豊田章男社長をして「あの内容をあの価格で、というのが脅威」とコメントさせる背景にある。日本メーカーを始め各社も追随し、積極的な対応戦略を取った韓国の現代自動車が地位向上につなげている模様も併せ描いている。

「モジュール生産革命」の必要性は、先進国市場、中進国、そして、将来膨大になるBOP市場まで視野に置いた時、そこでの市場対応の中で求められる、価格・性能面で多様な車の迅速な供給にある。この動きは、ボッシュやデンソー等に代表される国際企業にローカル企業も加わり、量的・質的に急速に発展を続ける自動車関連企業の活用も念頭に、「標準化」と「オープンソース化」を推進しつつ実現されている。

著者の豊富な産業調査の経験とデータ、そして多くの経営者との面談から、日本の従来の強みであった「擦り合わせ」と個別最適化を可能にした、比較的系列内に閉じたシステムとは異なる潮流を、臨場感をもって理解させてくれる。

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