楽天優勝を導いたデータと視点

球界参入9年目の2013年、東北楽天ゴールデンイーグルスが悲願の日本一に輝いた。過去8年間、09年の1度しかAクラス入りがなかった球団が、勝利の美酒を味わうことができた背景には戦略的なチーム作りがある。
Text by 中島大輔(スポーツジャーナリスト)

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必要な補強ポイントを数字から判断する

2012年夏、立花陽三はメリルリンチ日本証券執行役員から楽天球団社長に転身した。前職で海外企業のM&Aを担当していた頃、楽天グループの三木谷浩史会長に才能を見込まれたことが理由だった。

社長に就任した立花は毎試合観戦し、スタッフとミーティングを重ねた。自身はラガーマンとして高校日本代表や慶応大学で活躍した経験を持つが、野球に関しては素人だ。だからこそチームを強化していく上で、誰もが納得できる根拠を求めた。

「マネーボールではないが、数字的なアプローチのほうがロジカルだと思う。他球団と比べてうちはどこが強いのか、弱いのか。それらを数字的に判断してアプローチした」。

弱かった組織が結果を残すためには――数字に裏打ちされた勝つための戦略、そして何より自信が必要だった。立花社長はそのためのコミュニケーションも欠かさなかった

12年の楽天は総失点がリーグで3番目に少ない467だった一方、総得点はリーグ4位の491と打力が弱かった。中でもチーム本塁打はリーグ最少の52本と少なく、長打力アップが新シーズンの課題に掲げられた。

そこで補強ポイントとされたのが、右打ちの長距離打者だった。チームには銀次、枡田慎太郎など左打者に有望株が多く、右の大砲を加えることで、彼らの力をより活かせると考えたのだ。立花が言う。

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