「費用構造」の裏と表を理解する

多くのベンチャー企業は労働集約型の事業を展開しており、変動費型企業である。その後、成長につれて設備投資を行い、従業員も増加し、固定費型企業へと変化する。費用構造の変化により、売上高の変動が利益にもたらす影響も大きく変わることになる。

会社は利益が出なくて倒産するのではなく、キャッシュが不足することで倒産する。それゆえに、特に起業直後でキャッシュを管理することの重要性を説いてきた。しかし、だからと言っていつまでも赤字のままで良いわけはない。そこで今回は利益計画について考える。

費用を分解する

売上高-総費用=利益。至極単純で当たり前の式だが、このことから、利益計画では費用をいかにコントロールするかが重要であることがわかる。

総費用は、固定費と変動費に分けられる。固定費とは、売上高の増減に関わりなく固定的に発生する費用で、たとえば、人件費、減価償却費、賃借料などがある。一方の変動費は、売上高の増減に応じて比例的に増減する費用であり、原材料費、外注加工費などが例として挙げられる。

しかし、正確に費用を分解することは容易ではない。たとえば昨今、企業は人件費という固定費を、正社員を極力減らして派遣社員などの割合を増やすことで、変動費化することに注力している。こうした状況下で人件費=固定費とすれば実態が反映されないことになる。

データから傾向を知る

この問題を解決する費用分解の方法として、散布図表法がある。

図1のように横軸(x)に売上高、縦軸(y)に総費用をとったグラフの上に、過去数年間の実績値を青色の点で示していく。直近をt期とすれば、t-1期はその前の期を示している。こうして書き入れた過去のデータの傾向を最もよく表しているような青色の直線を引くのである(この作業は、各点と直線との距離の二乗和が最小となるような直線を引こうとする「最小二乗法」であり、エクセルの関数「LINEST」を使って求めることができる)。

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