オリンピックで日本にも商機

米国では、「どの選手が将来有望か、いくらで契約すべきか」など、経営分析にまでデータの活用が広がり、勝つために必要なパフォーマンスの指標化が進んでいる。2020年に向け、日本も米国並みの「スポーツ・アナリティクス大国」になる可能性を秘める。

アメリカのスポーツ界では、データを解析する技術の高度化が進んでいる
Photos by Carine06、Delaywaves

2013年7月、米国で世界初の仕掛けが施されたサッカーの試合が行われた。MLSのオールスターマッチ(全米チーム対英チェルシー)だったのだが、世界初の理由は、全米チームの選手が着ていたユニフォームにある。

実はアディダス社が開発した小型のセンサーが備えられていて、彼らの位置や走る速さ、心拍数などを測定。

データがリアルタイムで監督やチーム関係者に提供されるという、「スポーツ・アナリティクス(分析)」の世界に新たな1ページを開くイベントだったのである。そして試合は、全米チームの勝利で終わった。

選手ごとの売上貢献度も評価

スポーツ分野でのデータ活用といえば、マイケル・ルイスのベストセラー『マネー・ボール』を思い出す人も多いだろう。MLBオークランド・アスレチックスのGMとなったビリー・ビーンが、データ分析を武器に貧乏球団を勝利へと導く姿を描いたこの作品は、ブラッド・ピット主演で映画化も行われた。

しかしスポーツにおいてデータを活用することは、もはや当たり前の話になっている。MLBの他球団は当然のこと、NBAやNFLなどでもマネー・ボール型の手法が盛んに取り入れられており、先ほどのスポーツ・アナリティクスという言葉も生まれている。

分析の目的も、従来のような「選手やチームがどのようなパフォーマンスを発揮しているか」といった単純な情報を得ることにとどまらない。

「どの選手が将来有望か、いくらで契約すべきか」、「このままだとシーズン終了後に何勝できそうか」といった予測分析や、「企業としてのチーム運営をどうすべきか」といった経営分析など、対象領域と深さを増している。

ある選手が観戦チケットの売上げにどの程度貢献しているか、などといった分析まで行われているほどだ。

こうした高度化に伴って、分析の前後にあるプロセスと、それを支える仕組みも整備されてきている(図参照)。

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