CEO対談 ユーザベース×マネーフォワード

スタートアップにもデータ活用に長けた事業展開が生まれてきている。自社でのデータ活用、サービス構築から広くビッグデータ活用のポイントまで、注目企業のCEO二人が語った。

立ち上げのきっかけ

マネーフォワード
コンシューマー向けの代表として複数の口座を一括管理して家計・資産管理を自動作成できる家計簿・資産管理ツールのマネーフォワードを運営。また11月には、個人の確定申告や法人の決算向けのクラウド会計サービスをリリース予定。

マネーフォワード代表取締役辻庸介氏、ユーザベース代表取締役梅田優祐氏。辻氏はソニーからマネックス証券、梅田氏はコンサルティングファームのコーポレイトディレクションからUBS証券という金融業界のバックグラウンドをもった2人は、ベンチャー経営者として互いに刺激し合う仲間でもある。

梅田  証券会社時代にブルームバーグやトムソンロイターといった情報機器を使っていましたが、これが非常に使いにくくて。

 BtoBのサービスはまだまだ使いにくいサービスが多いですよね。

梅田  そうですね。コンシューマー向けだとGoogleなどのシンプルなサービスがある中で、法人向けにももっとシンプルなサービスがあると便利ではないかと潜在的な需要を感じ、SPEEDAを開発しました。

ユーザーベース
グローバルベースの企業・産業情報を網羅した世界最大級のSaaS型ビジネス情報プラットフォームのSPEEDAと経済情報に特化したニュースサービスNewsPicksを運営

 私は、金融業界で働いていた頃から、お金に関するユーザーの本質的な悩みを解決できるような、ユーザーサイドに立ったサービスが必要なのでは?例えば資産状況が簡単に把握できたり、自分の状況に応じてお金に関するレコメンドが受けられるサービスがあるといいなと思っていました。

梅田  マネーフォワードを使うと数多くの金融機関の情報を取得し、一括で見ることができて便利さに驚きますが、システムの裏側はどうなっていのんですか?

 当社には、金融機関に長年勤務経験があり、人工知能やアルゴリズムに強いエンジニアが多くいます。社員も13名中10名がエンジニアでテクノロジードリブンの会社です。

データ分析はシステムだけでは不完全

 マネーフォワードはアルゴリズムの活用などでデータ分析をシステム化していますが、SPEEDAはいかがですか?

梅田 システムで分析できるのは9割、最後の残り1割は人の手を加えるようにしています。当社は高度な分析ができるアナリストを多数抱えており、人的リソースを元にした分析力が強みであると考えています。

 100%システム化することと、人の手を介することにどのような違いがありますか?

梅田 競合の定義の算出を例にしましょう。カフェというカテゴリーにおいて、スターバックスの競合をドトールと見ることはできますが、デニーズを競合に置くと若干違和感を覚えます。システム化するとこうした微々たる差があっても競合とみなしてしまうことがあります。そのため、その業界に知見を持つアナリストの「感覚」によるクレンジングが最後に重要になるのです。

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