ソーシャル時代のビッグデータ

現代のビッグデータは「人間関係」や「感情や感傷」といったソーシャルデータと結びつき、複雑化している。米ヤフー マリッサ・メイヤーCEOはソーシャル時代のビッグデータをかき集めようとしている。

次々とスタートアップを買収

米ヤフーが株価の面では好調に転じている。新CEOであるマリッサ・メイヤーが行なっている継続的な買収戦略を、市場が好意的に受け止めているといえる。

マリッサはスタンフォード大学でコンピュータ科学の修士号を取得している、女性リーダーには珍しいエンジニア出身のCEOだ。スイスUBS銀行の研究所などを経て、創業直後のGoogleに20人目の社員として入社した。UI/UXの担当副社長として、GoogleNews、Google Maps、GoogleEarthなどのサービス開発に携わってきている。その後Google内部での出世競争に敗れたが、米ヤフーのCEOに転じた。

彼女は就任以来、前述のごとく、本当に矢継ぎ早に多くのスタートアップの買収を行っている。誰もが知っているといえば、17歳の少年が開発したことで話題になったニュース記事の自動要約アプリ「Summly」や、11億ドルという巨額の取引で世間をあっといわせた「Tumblr」の買収がある。

直近だと、画像認識技術を持つスタートアップである「IQEngines」を買収し、同社の写真共有サービスである「Flickr」の補完技術として適用すると見られている。他にも、電子メール管理ツールの「Xobni」、レストラン情報共有アプリ「Jybe」、写真加工アプリ「GhostBird」、電話会議サービスの「Rondee」、ビデオ作成アプリ「Qwiki」、マーク・アンドリーセンが創業者の一人であるソーシャルブラウザー「Rockmelt」などがある。

消費者の行動データ収集、解析が狙い

米Yahoo!が買収した画像認識技術を持つスタートアップである「IQEngines」

マリッサがもしMBA取得の経済畑のプロフェッショナルであるならば、これらの企業買収は、単なる人材獲得ととらえられたかもしれない。しかし、彼女は筋金入りのエンジニアであり、ヤフーを復活させるために必要なテクノロジーのラインアップの集め方については、明確な意図がある。それは、消費者の日々の行動を直に集めることと、そのデータを解析して、他のデータとマージする技術を手に入れることだ。上述のスタートアップは、そのどちらかの目的に必ず即している。

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