新しい事業を生むデータ流通

データを適切に流通させ、活用することは、事業者や自治体の営みをよりムダのないもの、合理的なものにする。この20年間で、流通対象となるデータが生成される素地は十分に整った。いよいよその流通が価値を生む段階に入ったといえよう。

2012年、ウォルマートはソーシャルカレンダーという事業者を買収。
その理由は、同社が持つ「記念日を示すデータ」がプレゼント需要を示す価値あるデータとなるため、と考えられている

データを取りやすい立場と活用しやすい立場は異なる。

ビッグデータの活用のうち、「データ流通」を考えることは新しい事業を構想する上で役に立つ。なぜならば、「データを取りやすい立場」と「データを活用できる立場」は同じではないことが多いからだ。この両者を引き合わせることがデータ流通であり、新しい価値を生み出すことにつながる。

データの流通が、新しい価値につながった例を見てみよう。

2012年、ウォルマートはソーシャルカレンダーという事業者を買収した。

ソーシャルカレンダー社は、スケジュール帳をオンラインで管理するサービスを提供する事業者だ。

なぜ流通大手のウォルマートがソーシャルカレンダー社を買収したのか。

その理由は、同社が持つ「記念日を示すデータ」にあると考えられている。

誕生日などの記念日は、スケジュール帳の上ではデータのひとつに過ぎないが、ウォルマートにしてみればプレゼント需要という商機を示す価値あるデータとなるためだ。

データ流通は営利目的だけでなく、社会課題の解決を目的とした場面でも役に立つ。たとえば、安全な道路づくりのため、埼玉県は本田技研工業のデータを使っている。自動車の走行データから「急に減速が発生した地点」すなわち「急ブレーキが多い地点」を取り出し、交通事故の危険性が高い場所から問題解決を図る。

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