母親たちのビッグデータからアイデアを考える

少子化によりベビーカー市場は横ばいが続き、国内のシェア争いは激化している。コンビは自社専属の母親モニターを組織化し、ともに商品開発を行うシステムを構築。赤ちゃんの視点に立ったベビーカー開発で、販売を3倍に伸ばした。

育休中の母親モニターによるニーズの深堀り

少子化問題は、2012年の合計特殊出生率が1.41となり、16年ぶりの回復を示して明るい兆しが見えてきた。

コンビ ベビー事業部 プロダクトセンター 第1商品開発室 第3開発グループ リーダー 企画担当
細谷周史氏

保育所や放課後児童クラブなどが増加し、子どものサービス関連市場は大きな伸びが期待される。一方、ベビー用品、子供服・用品、玩具などの子ども向け用品市場は縮小し、激しいシェア争いは続いている。安価な製品や海外の人気ブランドが流入する中、国内で品質の高いベビー用品を開発する会社がある。

コンビは「赤ちゃんを育てることが楽しく幸せだと思える社会」をつくるビジョンを掲げ、哺乳ビンからチャイルドシートまで手がけるベビー用品老舗の会社だ。2012年に振動による赤ちゃんのストレスを低減することができる「振動レスシステム」を開発し、システムを搭載したベビーカーが市場を動かした。自社のベビーカーでは過去最多の初期出荷となり、発売翌月には同等機種との比較で前年比3倍近い出荷を記録した。

振動レスシステムの開発は担当である細谷さんの地道なニーズ発掘から始まる。開発のきっかけは自社で毎年行うニーズ調査。ベビーカーを選ぶ優先順位の調査で、消費者は「安全性」を一番重視するという結果が出た。細谷さんは2009年にベビーカー担当に配属され、同じ年に父親になった。「十数年ベビー用品の開発に携わってきましたが、我が子が生まれてからは"本当の安全"について深く考えるようになりました。消費者が安心できる安全性とは何か、ニーズの深堀りが必要だと感じました」。

「エッグショック」は卵を割れずに受け止める低反発素材

ベビーカー市場は小規模のため、第三者機関による市場データがほぼ存在しない。コンビでは開発部門の調査チームが、母親のモニターを組織した「ライフデザインプロジェクト」を運営し、ニーズ調査を行なっている。参加メンバーは、社会に貢献したいと意識が高い母親だ。全国規模の組織で、週1回のアンケートや、月1回は会社にてインタビューを開催し、開発前のアイデアラッシュや、開発コンセプトに意見を出していく。消費者の本音を直に商品開発に生かした、言わば共同開発者の一員である。

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