3つの条件から見える「時価総額1,000億円」の可能性
自ら起業を成功させた経験を持つ村松氏は、独自の視点でベンチャーの可能性を判断し、投資や事業支援を行っている。
村松竜氏はジャフコ出身で、自らペイメント・ワンというオンラインのカード決済会社を立ち上げた経験を持つ。ジャフコ時代には、黎明期のGMOインターネットの可能性を見抜き、いち早く投資を行った。
現在、村松氏は、GMOインターネットグループのベンチャー投資会社、GMOベンチャーパートナーズでファウンディングパートナーを務める。
村松氏が投資先を決めるに当たって重視するのが、「時価総額で1,000億円以上になれる可能性があること」だ。
「これまでに50社以上の投資・創業に関与しましたが、そのうち3社は1,000億円規模から数千億円、中には1兆円を超えた時期もあります。GMOインターネット、ペイメント・ワンと統合した現GMOペイメントゲートウェイ、Qihoo 360(チーフー360)です」 村松氏は、そうしたスケールの大きな成長を目指す起業家の共通点として、3つを挙げる。
「すでに事業を立ち上げた経験を持つシリアル・アントレプレナーであること。アメリカでは、実績のある起業家に投資するのが主流です。日本でも、90年代半ばにネットベンチャーが生まれて、初回の起業を成功させたベンチャーが2度目を狙うフェーズに入っています」 2つ目は、「独自の技術力で世界を狙えるかどうか」だ。
「国内市場だけをターゲットに、時価総額1,000億円を実現するのは、今は難しい。アメリカのサービスの日本版のようなビジネスでは、一定の規模まで成長しても世界に出ていくのは厳しい。独自の技術力で世界へ出ていけるかを見ます」 そして、最後は「チーム力があること」だ。
「人を巻き込める人には、それだけの魅力があります。これら3つを満たしていれば、まだ完成されていなくても、いいビジネスモデルにいきつく可能性が高い。GMOインターネットに投資したときも、今のような事業構成になるとは想像していなかった。しかし、代表の熊谷(正寿)の経営哲学は、そのときから変わっていません」
自分だけが見える成功要因もある
大きく成長を遂げたGMOインターネットだが、村松氏が投資した当時は、周囲の理解を得るのに苦労したという。しかし、そうした反応に村松氏は投資の醍醐味を感じている。
「周りが駄目だと思っている状況で、『俺だけがわかっている』と一人で考えているときが一番気持ちがいい。トップが語る戦略以外の部分から、成功要因が見えるときがあるんです。
それは、インターネットという領域に詳しいから見えてくる場合もあるし、その人との付き合いが長いから次にどう動くかが見える場合もある。それは、言葉で表現しきれない部分です。
でも、自分だけが確信のある投資先は存在するんです」
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