複数の「未来」を発想 不確実性をチャンスに転換

現在の延長線上で「未来」を考えても、新たなビジネス機会は生まれない。自社が「知らないことにすら気づいていない」領域にまで発想を広げ、適切なチームで設計することで、継続的なイノベーションは可能になる。

粟田恵吾 博報堂イノベーションラボ リーダー博報堂が定義するイノベーションとは、「生活者視点での不連続な事業創造」である。まず、未来の社会を先に発想し、そこから技術やビジネスのあり方を考察していく。そうしたイノベーションが今、求められている。

しかし、日本の現状として、新ビジネスの創造は、どうしても既存事業の周辺で行われがちだ。

08年に設立したイノベーションラボでは、生活者の視点から新しいビジネス機会を創出するために、「未来洞察」、「エスノグラフィ」といったメソッドを独自に組み合わせるアプローチを生み出した。

全体像として、私たちが考えるイノベーション創出プロセス(下図参照)は、最初の段階で、機会探索や着想を得るための「知の探索」を行う。

ブレイクスルーを経た次の段階で、実現に向けたプロトタイピング(実験と修正を繰り返すこと)や、ビジネスモデル化する「知の深化」にステップアップしていく。

想定外の変化も取り込み 未来を洞察

知の探索では、不確実な変化の兆しを的確に読み取るために、「未来洞察」を行う。この手法は、最初の段階で幅広く機会を探索し、潜在ニーズを探索するものだ。

一般的に未来予測は、統計的な処理に基づいて行われ、ロジカルな考察によって行われる。

しかしこれでは、連続的な発想しかできない。

論理的に考えられる未来に、想定外と思われがちな変化の仮説を掛け算することによって、不連続な発想が可能になる。これを我々は「スキャニング手法」と呼んでいる。

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