名刺代わりのスイーツが生む人の流れ

石川県の観光大使を務める、パティシエ・辻口博啓。パティシエとして最高峰の技術と創造力を持つのみならず、前代未聞のロールケーキ専門店の成功、米粉の活用や日本洋菓子の海外進出への取り組みを手掛ける、希代の戦略家でもある。石川の観光を、はたしてどう盛り上げていこうとしているのだろうか。

世界的に名を知られるパティシエである辻口博啓。

現在の道を志したのは、上京前、七尾市にいた高校時代からだ。

―今の道に進むことを決めたのは、かなり早い段階と伺いました。

石川県の観光大使を務める、パティシエ・辻口博啓。パティシエとして 最高峰の技術と創造力を持つのみならず、前代未聞のロールケーキ専門店の成功、米粉の活用や日本洋菓子の海外進出への取り組みを手掛ける、希代の戦略家でもある。石川の観光を、はたしてどう盛り上げていこうとしているのだろうか。

洋菓子の世界を志したのは、小学3年生の時、友人の家でショートケーキを食べて、あまりの美味しさに衝撃を受けてからです。そして、実家の和菓子屋「紅屋」が倒産し、今の時代を生き抜いていくために、技術を極め、自分のスタイルを現代社会で確立する必要性を強く感じました。今日、パティシエというスタイルを様々なメディアで伝え、レシピ集を出して、自分のスタイルを構築しつつあると思っています。

―少年時代の経験は、今に活きているのでしょうか。

七尾市と言う海に近い所で育ち、釣りが非常に好きで、採れたてのめだい、鰤、なまこ、フレッシュなありとあらゆる食材を食べて育ちました。食が非常に盛んな土地で、食材の宝庫であり、奥能登の方に行けば、魚醤「いしる」をはじめ、発酵食品が豊富。こうした土地に育ったバックボーンは今の自分に深い影響を与えています。

パティシエという仕事をしていく上では、子どもの頃から、父の横について、笹取りなど製菓の副材料調達やパッケージングを見ることができたこと、職人たちが徹夜で働く姿を子供の頃から見ていて、職人は朝から晩まで仕事に打ち込むのが当たり前だと思ってきたことなどは大きなキャリアになっています。

シンプルで、明確なメッセージを発信する

つじぐち・ひろのぶ
1967年石川県七尾市出身。ク―プ・ド・モンドほか、数々の世界大会優勝経験を持つ。モンサンクレール(東京・自由が丘)をはじめ、コンセプトの異なる12ブランドを展開。ベトナムに農薬無散布の茶畑を所有し、現地の方々に職を提供。日本スイーツ協会代表理事も務め、スイーツ検定など実施

故郷である石川県七尾市に辻口博啓美術館「ル ミュゼドゥ アッシュ」を設立。スイーツとアートの融合という世界に類を見ない空間が楽しめ、辻口のスイーツが一堂に会するカフェとパティスリーブティックでは、能登ミルクやセイアグリー健康卵、塩、五郎島金時、中島菜をはじめ能登野菜、加賀野菜など、地元の新鮮な素材を使ったオリジナルスイーツが提供されている。

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