広域交流基盤を整備し、次世代産業を創造

2015年に北陸新幹線金沢開業を控えた石川県。首都圏から2時間半で移動が可能となるなど、「観光立県」として欠かすことのできない交流基盤整備が着実に進展する中、「素材革命」ともいうべき次世代産業の育成にも力を注いでいる。

―石川県の成長戦略についてお聞かせください。

2005年の国勢調査を境に石川県の人口は減少へと転じました。定住人口を増やさなくてはならないのですが、それはなかなか簡単なことではありません。石川県は「観光立県」を標榜していることからも、さらなる成長のためのキーワードの一つは「交流人口の拡大」にあるといえます。本格的な人口減少社会を迎えた今日、石川の活力を維持・向上していくためには内外から多くの人を呼び込み人やモノの交流を盛んにすることが重要です。

―「交流人口拡大」の具体的な戦略にはどのようなことがあげられますか。

陸・海・空に渡る広域交流基盤の整備がそれにあたります。「陸」で言えば、まずは道路網の整備です。本県は南北に細長く約200キロにも及んでいます。道路の利便性はもとより、観光振興、災害なども考えて南北幹線の「複線化」と東西幹線の「多重化」を進めています。これを2本のはしご(ラダー)状の道路ネットワークを形成するイメージから「ダブルラダー結の道」整備構想と名付け、整備を続けているところです。それに加えソフト面での道路整備としてこの3月31日をもって能登有料道路、田鶴浜道路、川北大橋有料道路の3つの有料道路を無料化しました。

「海」の面で言えば、金沢港のコンテナ取扱量は年間4万本を越え、3年連続で史上最高を更新しています。国際定期航路数についても史上最多となる週11便が就航しており、全国の重要港湾でもトップクラスの頻度となっています。まさに航路が貨物を呼び貨物が航路を呼ぶ好循環が続いています。また豊富な観光資源や市街地までわずか5キロほどといった地形的な優位性から、クルーズ船の就航も相次いで予定されています。

「空」の交流基盤を支える空港としては、石川県には小松・能登の2つの空港があります。小松空港については、昨年12月にデイリー化した台北便の搭乗率が7割を超える好調さを維持しています。また能登地域活性化の起爆剤として03年に開港した能登空港は、搭乗率保証制度の導入や過疎地域の賑わいの創出などの工夫により「地方空港の優良事例」として全国的にも高く評価され、地元にも大きな経済波及効果をもたらしています。

交流基盤の総仕上げ北陸新幹線の金沢開業

―さらに15年には北陸新幹線の金沢開業が控えています。期待している効果についてはいかがでしょうか。

新幹線の開業は、本県の交流通基盤整備の総仕上げというほど大きなものです。開業により2時間半足らずで都心部と金沢が直結され、年間輸送能力1800万人という大量輸送機能を手にすることになります。エリア人口に対する来県者の割合を比較すると、関西、中京圏が13~14%ほどで推移しているのに対し、首都圏は現在6%弱ほどしかありません。これは逆にいうとまだまだ伸びしろがあるということです。新幹線開業は首都圏からの誘客を図る絶好の機会と考えています。

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