石川から世界へ、炭素繊維で次世代産業を創る

「産業革新戦略2010」を推進してきた石川県で生まれた、産官学の連携による炭素繊維複合材料を用いた次世代産業の研究開発が、大きな成果につながると期待されている。今後は、5つの基本戦略の深掘りし、さらに産業のグローバル化を進める。

石川県の成長戦略は、2014年度を目標とする「産業革新戦略2010」に代表される。その骨子は5つの基本戦略と産学官連携による推進体制で、具体的には(1)基幹産業等の更なる競争力強化、(2)次世代産業の創造、(3)ニッチトップ企業の育成、(4)戦略的企業誘致の推進、(5)産業人材の総合的育成・確保だ。

炭素繊維複合材料を産学官で研究開発

全国で初めて設置された、炭素繊維織物からプレス成型までの一貫した研究開発拠点である「いしかわ次世代産業創造支援センター」での研究の様子(写真提供:石川県産業創出支援機構)

県の現在の成長戦略は05年に立案され、その後08年のリーマンショックを受けて10年に改定された経緯がある。13年度はこの戦略の改定から3年が経ち節目の年ともなるが、これまでの政策とその成果はどうなのだろうか。県産業政策課長の前田博貴氏は「炭素繊維による次世代産業の創造が基本戦略に大きく関わってきました」と強調する。これは国の国際科学イノベーション拠点としても採択された事業で、県の新たな産業として炭素繊維複合材料が注目を浴び始めていることを指している。拠点は県と金沢工業大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学の3大学と東レ、コマツ産機、大和ハウス工業らで設立する「次世代複合材料研究開発センター(仮称)」だ。炭素繊維そのものの研究開発は他県でも行われているが、複合材料として産学官で研究開発に取り組む例としては、これまでにないほど大規模であり、約20億円の国費が拠点設置に投入される。

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