モノ作り大国・日本の復活はなるか
赤池学(ユニバーサルデザイン総合研究所所長)×鄭秀和(インテンショナリーズ代表)対談
今、注目が集まる生物模倣技術は、モノ作り大国・日本再生の起爆剤となるのか。『自然に学ぶものづくり』の著者で、世界のバイオミミクリー事情に詳しい赤池氏と、建築家、プロダクトデザイナーとして第一線で活躍する鄭秀和氏に話を聞いた。
今、バイオミミクリーが注目される理由
鄭 バイオミミクリーという単語自体は知らなかったけど、デザインする上で自然や生物にインスパイアされたものというのは、密かなコードですよね。例えば、高層ビルのファサードを作る時に、大地が隆起するようなデザインコードで作るのであれば、土の色を色分解して使用するとか、裏づけ、背景として自然を用いて作ることを普通にやってきたので、こういう言葉があるんだっていう逆の意味での驚きがあります。
赤池 生物のデザインコンセプトって極めてシンプルで、結果としてすごく省エネ、省資源で作られている。環境の時代になって、生物のデザインが持つ環境合理性を産業界も学ばなきゃいけない時期にきているのかなと思っています。
鄭 私の場合は、どちらかというと知らず知らずのうちに、自然や生物に寄り添っているイメージですね。それをメカニズムとして分析して、ストラクチャーとして取り入れているということはまだしていない。でも、ストラクチャーの世界では、デザインが自然や生物にインスパイアされているというのはずっと言われていますよね。
赤池 年前に生物からメカトロニクスを学んでいく生物機械論が台頭し、それが最近になってナノテクノロジーが進化して、ナノレベルで生物の構造や発色の仕組みが再現できるようになった。生物模倣の仕方も、技術の進化にあわせてディープになってきています。
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