バイオミミクリー×ロボット 最先端研究室に潜入!
山形大学工学部応用生命システム工学科教授 井上健司氏インタビュー
工場の作業ロボットも、もともとは人間の腕がモデル──。バイオミミクリーという言葉は比較的新しいが、その概念はロボット工学黎明期から存在していたのかもしれない。
ここ数年、生物の機能にヒントを得たロボットが進化を遂げ、実用化に向けて加速している。単なる模倣にとどまらない、生物と機械の良さを融合した先端的なロボット開発を行う研究室を訪ねた。
ロボットの概念を形作るふたつのキーワード
「バイオミミクリー(生物擬態)という言葉は比較的新しいもので、広範にはバイオミメティクス(生物模倣)という方が知られていますね。もともと、ロボットにはそういう側面があったんです。ロボットに明確な定義はありませんが、キーワードはふたつです。自分で考えて行動する、状況に応じて動きを変える『自律』『適応』といったキーワードがまずひとつ。そして、一台でいろいろなことができる『汎用』『柔軟』といったキーワードがふたつめ。そのふたつを考えた時、人というのはお手本としてとても優れているし、昆虫や動物も然り、なんですね。多岐にわたる活動を長期間行わなければならない「生命の維持」という高度な行動をとるために、環境に適応して進化を重ねた結果、個体としても機能としてもいいものだけが生き残って今に至っているわけですから。そういうものを参考にするということは、合理的で多機能、そして長期間の使用に耐えうるロボットをつくるということ。その一方で、モデルとなる生物そのものをすべて真似る必要はない。重要なのは機能なので、極端にいえば、形はまったく生物に似ていなくてもかまわない。動きやモノをみる見方が生物的であるということが、我々にとっては重要なんです」。
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