生物模倣技術から生物規範工学へ

産業界を中心に取り入れられてきた生物模倣技術は科学の進化と共に飛躍的な発展を遂げてきた。現代の新潮流は「材料系バイオミメティクス」だ。

2011年8月12日付けの『ファイナンシャルタイムズ』のオンライン版に、「Inspired,naturally」と題する記事があり、「バイオミミクリーの分野は、米国では15年後に年間3000億ドルの国内総生産、そして2025年までに160万人の雇用をもたらす」というFermanian Business and Economic Institute(Point Loma Nazarene University)の経済予測を紹介している。この予想は、サンディエゴ動物園の委託によって10年10月に報告された"Global Biomimicry Efforts An Economic Game Changer"に記載されている。

バイオミミクリーは、『自然と生体に学ぶバイオミミクリー』の著者であるジャニン・ベニュス博士が命名した言葉である。08年に、"Biomimicry's Climate - Change Solutions:How Would Nature Do It?"という会議が開催されたように、バイオミミクリーは経済活動のみならず環境問題解決への期待もある。バイオミミクリーは「生物模倣」と邦訳されており、その語源はヨーロッパで使われているバイオミミクリー(バイオミメティクス)であり、その命名は1950年代後半に遡る。

何故、バイオミメティクスと同義の言葉であるバイオミミクリーが提唱され、とりわけ米国と日本で使われるようになったのであろうか?

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バイオミメティクスの歴史と研究動向

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植物の種子が動物に付着するのを模倣して開発されたマジックテープ

バイオミメティクスという言葉と概念は、1950年代後半にドイツ系米国人の神経生理学者であるオットー・シュミットによって提唱された。シュミットは、神経システムにおける信号処理を模倣して、入力信号からノイズを除去し矩形波に変換する電気回路として知られている「シュミット・トリガー」を発明した。材料への応用はさらに古く、我が国ではマジックテープとして知られる面状ファスナー(VELCRO®)は、植物の種が動物に付着することを模倣した製品化である。

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