有機EL、第3世代発光材料を開発

環境産業の育成を重視する福岡の地から、世界のトップへ踊りだそうとする研究成果が生まれようとしている。次世代エレクトロニクス技術として注目される「有機EL」である。

九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(以下、OPERA)

「現在、サムソンを中心に韓国が圧倒的なシェアを誇る有機ELデバイスの世界で、流れを日本に引き戻すきっかけとなる開発に成功した」と話すのは、九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(以下、OPERA)の安達千波矢センター長だ。

2012年12月、OPERAは国際学術雑誌「Nature」に第3世代の有機EL発光材料「Hyperfluorescence」の開発に成功したことを発表した。

レアメタル、発光効率の壁をブレイクスルー

今回、OPERAが発表した技術は、まさに画期的なものだ。20世紀半ばから研究がスタートした有機ELは、蛍光材料(第1世代)の時代から現在はリン光材料(第2世代)の時代に移り変わり、携帯電話などのディスプレイを中心に実用化されている。しかし、現状の技術は、第1世代に比べ高い発光効率を実現した一方で、イリジウム(ほぼ南アフリカで産出)や白金等のレアメタルが不可欠。自然、供給不安と高コスト構造に悩まされる。それだけではなく、第2世代の特許は米国のベンチャー企業のUniversal Display Corporation(UDC)社が独占。高額なライセンス料の支払いも高コスト構造を押し上げる。

今回発表された第3世代は、新しい発光原理の開発により、この第2世代の課題を一気に解消した。中心となる材料はOPERAが開発した熱活性型遅延蛍光材料(TADF)で、蛍光材料と同じく炭素、水素、窒素など安価な材料で構成され、かつ、ほぼ100%に迫る発光効率を実現。加えて発光機構の特許は九州大学にある。

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