デジタルネイティブの思考法

デジタルネイティブ―生まれた時からインターネットやパソコンのあるのが当たり前の生活環境で育ってきた世代―は、どんな思考をし、どんな働き方をしているのだろうか。かつてのIT起業家で、現在はヤフーの史上最年少本部長を務める宮澤弦氏に尋ねた。

ベンチャー時代には、「歴史から学ぼう」といろいろな経
営者の経営の本を読んでいたという宮澤氏

物心ついた時から自宅のマックで遊んでいたというヤフーのマーケティングソリューションカンパニー事業推進本部長の宮澤氏は、デジタルネイティブの第一世代と言えるだろう。父親がピアニストで、「人生の選択肢って自由なんだ」と感じながら育った宮澤氏は、十代の時から起業を志していた。

「マイクロソフトやサンマイクロシステムズ、オラクルあたりの創業者の本を読んで、本当にかっこいい生き方だなと思っていました。大学生の時から好きなことをやって、それが仕事になって、結果として、世の中をより便利な世界に変える。それが全部、狙ったことではなくて後付けなのがかっこいい。僕は彼らのような生き方を知って、世の中を新しく変えていくとか、便利にしていくことを四六時中考えている、みたいなことが仕事になる人生って良いなと思ったんですよ」

大学卒業後すぐに起業 刺激的な若手との交流

宮澤氏が出資しているプラスアドが運営する電子楽譜プ
ラットフォーム「piaScore」(上)と、ビッグデータ処理
のハピルス。ハピルスはアメリカの有名インキュベーター
「500 Startups」からも出資を受けている

シンプルに「好きなことを仕事にしたい」と考えていた宮澤氏は、大学でバイオの研究をしていたが、転進してIT業界で起業した。

「IT業界の圧倒的な変化の速さと、新しいものが出てきたときに感じるこのワクワク感というのは他にないんですよね。こんなにワクワクさせてくれる産業ってほかにあるのかと思ったら、やっぱりない。今の自分の生活を、自分で便利にしたいじゃないですか」

こうして2004年に大学を卒業すると、ITベンチャーのシリウステクノロジーズを仲間数人で立ち上げた。起業してから6年間、寝る間も惜しんで働き、携帯電話ユーザーの位置情報を利用した広告事業で事業を拡大。社員も約40人にまで増やした。そして10年、ヤフーに会社を売却し、自身は12年7月にヤフーの最年少本部長に就任した。

現在はヤフーの社員だが、起業家としての経験を活かし、個人投資家として電子楽譜プラットフォーム「piaScore」を運営するプラスアドや、ビッグデータ処理のハピルス等に投資している。投資するだけではなく、日頃から若い起業家の相談に乗るなど積極的に交流を図っているが、それには理由があるという。

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