全世界の6億人がターゲット

完成度を高めるためユーザーからのフィードバックを積極的に求める。iPadを活用するPOSレジ「ユビレジ」で勝負する木戸氏の発想法は、徹底した目的合理性が特長だ。

「レジを思い浮かべた時にタブレットが思いつくぐらいの変革を起こしたい」と語る木戸氏

「完成度は10%でもいいから、とにかく早く市場に出すことを最優先しました。ただし、月額利用料は最初から5000円に設定しました」

10%は謙遜だろうが、それでも未完成を自覚する製品を有料で発売するのは、旧来の日本企業ではあり得ない経営判断である。はた目には型破りとも思える戦略だが、木戸氏の思考は極めてクリアかつ骨太のロジックに支えられている。

同社の製品は社名と同じく「ユビレジ」、iPadを安価で高性能なPOSレジとして活用するアプリケーションだ。iPadの画面に表示されたメニューを指でタッチしてオーダーと会計を処理する。シートプリンタやキャッシュドロア、バーコードリーダーなどとの接続や連携も簡単にできる。iPadには数多くのアプリケーションが開発されているが、ユビレジと同じ機能を持つものはなかった。

ユーザーの声に導かれて完成を目指す

11年9月にユビレジ2を出して、一気に導入店舗数が増えた。現在は約2000店舗が導入

iPadをPOSレジとして最適化するには、どうすればいいか。木戸氏の思考は、この一点に集中する。アプリケーションは、いくらでもアップグレードできる。ただし、改良の方向性は開発者が決めるべきではない。リード役は実際に使っている顧客と考えるのが木戸流で、だからこそ、1ヵ月で制作した完成度が低いバージョンをあえて有料で出した。

「もちろん買ってくれたお客さんには、完成度が何%かわかりません。けれども5000円も出したんだから、使い勝手が悪かったら遠慮なく文句を言ってくれます。そのクレームがユビレジを成長させる最高の糧になるのです」と木戸氏は明かす。

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