レゴ社と共通するクリエイター優先主義
今や関連商品売上げ規模が100億円にも上るといわれる初音ミク。このバーチャルアイドルはどのようにして市場と人気を広げていったのだろうか。
つい最近、レシピ提供サイトのクックパッドについて大手企業社員対象の勉強会で議論した。参加者がすべて男性だったこともあり、同サイトの存在を知らなかった人もいた。検索エンジンに「レシピ」と打ち込めば必ずといっていいほど先頭に表示されるほどのサイト、2000万人が利用すると言われる「おばけ」サイトにもかかわらずだ。このように、ネット社会が到来して以来、リアル世界の住人がその存在を気づかないヒット商品やサイトが生まれるようになった。音声合成ソフトの「初音ミク」もその一つだ。
異例の売り上げを記録した初音ミクのボーカロイドソフト
![042_01.jpg](https://cdn.projectdesign.jp/uploads/201211/2012/10/03/images/042_01.jpg)
「ミク」の関連商品売上げ規模が100億円だと紹介すると驚く人が多い。カラオケで若い人たちはミクに代表されるボーカロイド曲を歌い、あるカラオケ配信会社で最も多く歌われる年間ベスト10の半分がボーカロイド曲だと話すと感嘆の声があがる。
音源さえあればコンピュータ上で楽器音を合成し、再生できる仮想楽器の技術が登場してからずいぶんになる。しかし、人の声を仮想楽器とするのは難しく、それを実現したのがヤマハのボーカロイドだった。
しかし、問題があった。ギターやピアノなら商品パッケージに楽器のイラストを印刷すればどんな音が出るのか誰でも簡単に想像がつく。 しかし「ヒト」となるとどんな音が出るのか想像しづらい。そこでミクを商品化したクリプトン・フューチャー・メディア(以下、クリプトン社)は「声」を想像しやすいキャラクター像を設定し、イラストをパッケージに印刷して販売する方法をとった。
さらに同社はちょうど同時期に登場してきた動画共有サイト「ニコニコ動画」に注目した。キャラクターのイラストを二次利用できるようにすれば動画共有サイトを通じてクリエイター達による創作競争が起こり、それが商品の認知度をあげてくれるかもしれないと考えたのだ。
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