「危機」意識が生んだ 神奈川改革

日本経済の基盤の一つである地域経済。全国的に徐々に回復傾向にあるものの、少子高齢化の現実を前に、未来への新たなグランドデザインが不可欠な状況だ。とりわけ、広域的な行政を担う都道府県知事のタクトは大きく状況を左右する。

「このままではダメだ」―強い危機意識から、医療・エネルギー問題の抜本的な構造改革に取り組む神奈川県・黒岩祐治知事。医療分野では、規制の壁を払ったイノベーションへ向け、特区申請を就任直後に通過させ、エネルギー分野では企業の知恵を活かした施策を生み出している。こうした知事の姿勢のみならず、神奈川県はベンチャーの支援や企業の連携、新規事業創出に最も力を入れる自治体の一つだ。同時に、鎌倉の世界文化遺産化など魅力ある地域づくりにも余念がない。神奈川経済に眠るビジネスシーズを追った。

―就任以来、新産業の育成につながる施策を多く展開されている。

自分の原点は「このままの日本ではダメだ」という危機意識。だから、危機を脱するために必要な施策を展開しています。

超高齢社会の進展を考えれば、今のままの医療の在り方では、破綻するのが目に見えています。みなが長生きできる超高齢社会は良い社会ですが、年を取ると病気になり、介護が必要になるということでは、社会全体としては明るくはなりません。病気にならない社会を作っていかなければならないのです。元気な高齢者が様々な形で社会に貢献していけるような、そういう社会を早く作るには、医療の在り方を変えなくてはいけません。

病気にならなくしていくことを、中国の漢方の哲学では「未病を治す」と言います。病気になる直前状態が未病です。それを治すには、「医食同源」。つまり、薬だけに頼るのではなく、食の在り方によって治していくこと。これを広げていかないと、病気にならない老人を増やすことは出来ないでしょう。こういった漢方の哲学をうまく活用したいと思っています。

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