青森県産米のPRをJALが後押し

生活者に「伝わる」PRは、時に自治体だけで活動するよりも、企業や団体などの「外部の視点」を取り入れることで、生活者に受け入れられやすく「伝わりやすい」コンテンツの開発や情報発信の手法にたどり着きやすい。

情報提供・電通パブリックリレーションズ

 

「青天の霹靂」をラウンジで提供した 写真提供/日本航空

民間との協働で激戦の市場へ
自治体ブランドを投入する

近年、山形の「つや姫」、北海道の「ゆめぴりか」など、新興ブランド米と呼ばれるコメが注目を集めている。神奈川の「はるみ」、富山の「てんこもり」、福岡の「夢つくし」などが初の最高評価「特A」銘柄となったほか、岩手の「銀河のしずく」もある。

青森県は、他県が早くから米のブランド米化に力を入れ、実績を上げていたことから、長年、米の研究開発に力を入れていた。2015年、同県産の米「青天の霹靂」が、特Aランク(日本穀物検定協会)に認定された。

同県では、JA全農あおもりと共に、青森県産米のブランド化に力を入れるべく、出荷先やプロモーションの方策を練った。しかし、市場はすでに全国各地のブランド米が市場シェアを取っており、産地間競争も激化状態にあった。後発の青森県産米にとって、この市場に切り込み、実績を上げていくことは、至難の船出であった。

一方、日本航空(以下、JAL)では、同時期の15年に「JAL新・JAPANPROJECT」を立ち上げ、「地域の元気」の創出に取り組んでいた。プロジェクトは、「観光振興」と「農林水産物の6次産業化」をテーマに、全国各地の県や都市とコラボレーションし、訪日外国人需要や国内の観光需要の呼び込み、地域の経済活性化、ひいては雇用創出なども視野に入れて活動をしていた。

航空輸送を担うJALにとっては、航空機の利用促進が第一であり、そのためには地域の産業が元気でなければ、そのビジネスは成り立たない。地域に人を呼び込み、その魅力を伝えることで、交流人口を増やし、持続的にその地域の発展を促す。それは、すなわちJALのビジネスに直結するのである。

JALが行っていた具体的な活動は、機内誌や同社のウェブサイトを通じて、地域情報を発信していた。そこに、いま一歩踏み込んで、地元経済の活性化まで視野に入れた活動ができないものかと、全国の各支店では、各地区の物産品や工芸品の情報を集めていた。JAL青森支店に「青天の霹靂」に関する情報が入ったのは、まさにそのような状況下であった。

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