強風下で延焼・糸魚川市大火災

日本海沿岸部では、昭和51年(1976年)の酒田の大火以来となる。当日は糸魚川市には強風注意報が出ており、最大瞬間風速24・2メートルを観測。焼損した一帯は、市街地中心部の糸魚川駅から北側。昭和初期に建造された商店街や木造住宅の密集地域。

過去20年で最悪の焼損棟数

新潟県糸魚川市で平成28(2016)年12月22日(木)10時20分頃に出火。強風にあおられ商店や住宅などへ燃え移り、同日夜までに焼損棟数 144棟、焼損区域面積約4万平方メートルに及ぶ被害がもたらされた。糸魚川市は付近の約360世帯(約740人)に避難勧告を出した。

佐渡を除く新潟県内の自治体や富山県から応援の消防隊が消火に当たり、約10時間半後の午後9時前、火災はほぼ消し止められ、鎮圧状態となった。

総務省消防庁によると、地震や津波を除くと、住宅や飲食店が火元となった火災としては、日本海沿岸部では、1976年の酒田大火(山形県酒田市)以来の大火となった。新潟県は災害対策本部を設置し、自衛隊に災害派遣要請。糸魚川市に災害救助法を適用した。

新潟地方気象台によると、当日は糸魚川市には強風注意報が出ており、朝から南寄りの強い風が吹いていた。午後0時10分ごろには最大瞬間風速24・2メートルを観測した。山間部を越えた暖かい風が吹き込み、一帯が乾燥する「フェーン現象」が起こった可能性がある。

焼損した一帯は、市街地中心部の糸魚川駅から北側。昭和初期に建造された商店街や木造住宅の密集地域。

糸魚川市は昭和 35年(1960年)に今回の焼損区域を含む 26.89ヘクタール(約29万平方メートル)を準防火地域に指定している。さらに、昭和 43 年(1968 年)には既存準防火地域東側の近隣商業地域を新たに準防火地域に追加指定し、32.2ヘクタール(約32万平方メートル)となって現在に至っている。

糸魚川市では過去に、明治44年(1911年)、昭和3年(1928年)及び7年(1932 年)にそれぞれ大火が発生している。このうち、昭和 7 年に発生した大火では、今回の焼損区域を含む広範な地区において延焼しており、その後復興に際して、道路の拡幅が行われている。

強風による飛び火で同時多発の火災が発生

今回の火災では、飛び火により約 10 箇所で同時多発的に火災が発生し、拡大したことにより、多くの消防部隊を転戦させる必要が生じ、指揮本部自体も数度移設が必要となる等、消火活動には困難を極めた。一部の消防車両には長時間の稼働による不具合が発生、一部の消防団のポンプは焼損するなどした。

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