東京都の防災教育プログラム

東京都は子供たちの命に直結する安全教育を教育の重要課題に挙げる一方、子供たちを通して、学校の防災教育と家庭、町会・自治会等の多様な取組と連携し、自助・共助の力を最大限に引き出すことを目指す。(東京都教育庁指導部指導企画課)

東京都教育庁指導部指導企画課(安全教育担当)藤江敏郎氏(左)
同・指導企画課(安全教育)課長代理 会田健太郎氏(右)

児童・生徒が自ら考え、行動する防災教育を目指す

東京都は現在、首都直下地震の大規模災害に備えるとともに、東京2020年オリンピック・パラリンピック競技大会開催も見据え、万全の危機管理体制を実現するための4ヵ年事業を進めている。その柱の一つが「自助・共助の促進による地域防災力の向上」を目指した政策だ。

首都直下地震に備え、家庭での備蓄や町会での防災訓練、学校での防災教育など、個人や家庭、町会・自治会、消防団、学校などの多様な取り組みを連携することで、自助・共助の力を最大限に引き出すことが狙いである。

中でも学校での防災教育は子供たちが災害に遭遇したおりに、どう安全を確保し、どう安否を確認するかという家庭にとっても社会にとっても極めて重要な課題を担っている。その指導資料となるのが生活安全・交通安全・災害安全の領域を対象とした「安全教育プログラム」(平成29年3月 東京都教育委員会)だ。「安全教育プログラム」は、幼児・児童・生徒に危険を予測し回避する能力や、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育成するために作成され、平成21年度から都内の公立学校全教員に配布されている。東京都教育庁指導部では"安全教育"を「子供たちの命に直結する、重要視されるべき教育」の一つと位置付けている。

「安全教育プログラム」は必ず指導・教育する災害安全の基本事項として、7項目を定めている。「火災時の安全」、「地震災害時の安全」、「火山災害時の安全」、「気象災害時の安全」、「原子力災害時の安全」、「避難所の役割と貢献」、「災害への備えと安全な生活」の7項目だ。

この指導資料をもとに、各校、各教員がそれぞれ工夫して、防災教育を行う。その際、「たとえば、災害時の避難の仕方を児童が学習するケースを例にとると、従来、教員が監督者として単に避難誘導する、つまり避難訓練の場になりがちでした。しかし、地震が起きたらここに避難しましょう、では学習にはなりません。何が危険かということを学習しながら、実情に合わせて避難の仕方に結び付けていくことが重要になります。教員に言われたからそこに避難するのではなく、子供たちが自ら考え、判断することで安全能力を身に着けるような防災教育を目指しています」(教育庁指導部)

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