都民一人ひとりの自助意識を高める

首都直下型地震などの大規模災害に備えるため東京都は、地域の防災力を強化し減災につなげるために自助・共助に重点を置いた施策に力を入れている。そのポイントと強化点を東京都総務局総合防災部事業調整担当課長宮崎玄氏に聞いた。

東京都総務局総合防災部事業調整担当課長 宮崎玄氏

多くの都民に関心と高い防災意識を

2016年12月に東京都が公表した『都民ファーストでつくる「新しい東京」~2020年に向けた実行プラン~』によれば、都はセーフシティ構想を掲げ、地震に強いまちづくりや自助・共助・公助の連携の防災力向上、豪雨・土砂災害対策などに力を入れている。

なかでも直下型地震への備えで政策目標に据えたのが、無電柱化や建物の耐震対策、木密地域の不燃化に都市施設の機能確保、そして低地帯と沿岸部の耐震・耐水対策だ。

また、14年12月に公表した『東京の防災プラン』では、災害対応力の備わっている都市として3つの視点を重視している。それは、都民・地域、企業が災害への意識を高く持ち、都民一人ひとりが相互に助け合い、適切な行動を取ることのできる社会の形成。関係機関が連携した迅速な人命救助や、避難所等の円滑な運営など、命を守る災害対応体制の構築。さらに木密地域の改善や建物等の耐震化、道路ネットワークの確保、豪雨や津波対策など強靭な防災都市づくりを着実に進展させていることだ。

30年以内に、南関東で直下型大規模地震の発生する確率は70%といわれている。もしもM7.3の直下型地震が、東京湾北部で発生すると被害は甚大となり死者約9700人、負傷者約14万7600人、帰宅困難者約517万人、建物被害30万4300棟になると想定される (平成24年4月東京都発表)。こうした状況を踏まえ、東京都は地域の防災力を強化して減災につなげるために自助・共助に重点を置いた施策に力を入れている。

自助・共助は年齢性別を問わず、より多くの都民の関心と、高い防災意識が必要となる。このため13年度より、希望する住民防災組織や町会・自治会などに対して、防災の専門家を派遣し地域防災に関するセミナーを実施。16年度からは防災ブック『東京防災』をテキストに活用することとし『東京防災学習セミナー』として実施している。 

参加希望者が指定された日時に都庁などの公共施設に出向くのではなく、自治会や町会に都が講師を派遣して実施するスタイルで、主婦から学生、勤め人まで男女を問わずより幅広い世代が参加しやすいように、地域が主催して開催の日時や場所を設定できるようにした。

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