防災ガイド2017年度版
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電気火災を防ぐ

点から面への電気火災対策

榎 堅吾(平塚市 防災危機管理部 災害対策課 訓練担当 担当長)、リンテック21

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電気火災の防止に役立つ「感震ブレーカー」がにわかに注目を浴びている。各家庭での普及率はいまだ低水準にあるなか、無償配布に踏み切った平塚市。その狙いや取り組みのポイントについて話を聞いた。

榎堅吾 平塚市 防災危機管理部 災害対策課  訓練担当 担当長

電気火災を防ぐため感震ブレーカーを無償配布

地震発生時の電気火災を防止するため、政府が普及を推進している「感震ブレーカー」。その認知度は自治体によってバラつきがあるが、防災意識の高い自治体では設置に補助金を支給するケースも徐々に出始めている。

そうしたなか、1万2000世帯への無償配布という過去に例のない事業に踏み切ったのが、神奈川県のほぼ中央に位置する平塚市だ。消防車が進入しづらい狭い道路に面した住宅や住宅密集地など、延焼火災が懸念される12地区を対象としている(事業所や公共施設は含まれない)。

政府によれば、これまでの大震災で発生した火災の6割以上は電気関係の出火が原因。電気による出火を防ぐには避難時にブレーカーを遮断することが重要だが、大地震発生時にそのような冷静な行動を取れる人は多くない。その点、感震ブレーカーは設定値以上の揺れを感知すると自動的にブレーカーを遮断し、電気の供給を停止させるため、電気復旧時の通電が原因で起こる通電火災の軽減に有効だといわれている。

こうした感震ブレーカーの機能には政府も注目しており、内閣府は2024年度までに密集市街地での設置率25%を目標に掲げている。しかし、周知不足や費用負担などを理由に、実際の普及率は1%を下回る状況だ。県内では横浜市や茅ヶ崎市が感震ブレーカーの有料配布を実施しているが、平塚市が無償配布に踏み切ったのはなぜなのか。

「実は東日本大震災のとき、消防学校の教官を務めていたため、現地の支援に行った際に通電火災の恐ろしさを身をもって学びました。また、阪神淡路大震災では私の前任者が現地に派遣され、そこから火災に関するさまざま情報を知り得たことも大きいです」と語るのは平塚市防災危機管理部 災害対策課 訓練担当長の榎 堅吾氏だ。

総世帯数約11万世帯を擁する平塚市では、今後予想される大正型関東地震で3万6100の家屋が全壊または半壊の被害を受け、8650棟が焼失すると予測されている。(神奈川県地震被害想定調査委員会発行、神奈川県地震被害想定調査報告書(概要版)より)こうした想定される被害の大きさを鑑みて、榎氏は日々危機感を募らせていたという。

そのような中、平塚市は感震ブレーカーを無償配布するための補正予算を組み、「平塚市感震ブレーカー配布事業」を開始するに至った。

周知から設置方法までメーカーとの連携で対応

配布したのはリンテック21の簡易タイプのバネ式感震ブレーカーで、震度5強以上の揺れを感知すると、自動的にバネが作動してブレーカーをオフにするというものだ。既存のブレーカーに簡単に設置できるため、各家庭で取り付けることになる。取り付けに工事が必要な分電盤タイプよりも費用を大幅に抑えられることや、コンセントタイプと違い、一度に家中の電気をカットできる点も魅力的だ。

とはいえ、設置方法が分からなかったり、そもそも感震ブレーカーとは何かを知らない住民も多い。そこで平塚市は、該当地域で説明会を開き、設置までの流れや注意点を解説することで周知徹底を図った。

「リンテック21製ヤモリを選んだのは、内閣府のガイドラインにある性能表示で2つ星の評価を得ているという『お墨付き』、安価な簡易タイプである、他の自治体での導入実績があるという3点が理由でした」と榎氏。

事業に取り組むにあたり、先行自治体への調査やヒアリングを重ねていくなか、榎氏が知り得たのは「ほとんどの地域は、希望を募る手上げ方式で整備を行なっている」ということだった。しかし、これまでの経験から延焼火災は『点』での対策は不十分だと感じていたため「地域の減災という観点から、費用が掛かってでも『面』での対策でより効果を上げたい」と考えたのだという。

「実際に事業を開始してみると、きめ細やかなアフターフォローには本当に助けられました。何度も打ち合わせを行い、地域の事情に合わせたオリジナルの配布資料を作成していただいたり、説明会ではプロであるメーカーの方から直接、商品の特徴や電気の復旧方法をお話しいただいたおかげで、トラブルなく進められたことに感謝しています」と榎氏。

また、ご自身によるお取り付けが困難なご家庭の事情を考慮し、有料(1080円)での取り付けも依頼できるようにした。研修を受けた「平塚市生きがい事業団」の担当者およそ15人が対応する。

感震ブレーカーアダプター「ヤモリ」

市内各地域に広げるため消防や自治会とも協力

こうした熱心な取り組みが実を結び、2017年1月から配送を開始し、現時点で当該世帯の9割超への配布が完了した。再配達の手配をせず放置している約600世帯については、消防と協力して手渡しによる配布を続けている。今後も消防との全面協力により、設置状況の調査をしていくという。

県が「地震防災戦略」で掲げる「2024年度までに設置率10%」という目標を達成した平塚市。より広範な防災まちづくりを目指し、今年度以降も感震ブレーカーの設置を進めていきたい考えだ。 

「『面』での対策を徹底するために、現在は手上げをしてもらえる自治会を募っている段階です。感震ブレーカーを市内各地域に広げるため、今後も災害対策に力を入れていきます」と榎氏は力強く語った。

今後も、リンテック21では感震ブレーカーの販売という「ハード」はもちろん、様々な地域での支援経験を活かした、住民への普及活動やアフターフォローなどの「ソフト」の両面で自治体支援を行っていく。

リンテック21ではハードのみの供給ではなく、設置の啓発から取り組むことで信頼と実績を積み重ねている

株式会社リンテック21への

お問い合わせ


株式会社リンテック21
MK営業部
Tel : ‌03-5798-7801
Mail : ‌info_lintec21@lintec21.com
URL:http://www.lintec21.com/

 

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