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災害時、孤立した地域との通信の確保が重要な課題となっている。KDDI研究所では無人航空機と避難所をWi-Fi無線で接続、搭載したサーバにEメールを蓄積中継し、インターネット回線に接続することで、被災者との間の送受信を可能にする。

無人機
東日本大震災後、課題となった情報通信インフラの復旧
今年2月、KDDI研究所は携帯電話が使用できない孤立した被災地へ無人航空機を利用してEメールを届けるシステムの実証実験に成功したと発表した。
総務省が東日本大震災を契機に2011年度補正予算より「災害に強い情報通信技術に関する研究開発」を打ち出している。その流れの一つとして同社では13年からこのプロジェクトに参画し、災害時を想定したメッセージ蓄積中継システムの開発に取り組んできた。
メッセージ蓄積中継システムは無人航空機を用いてEメールを蓄積中継することで、携帯電話の電波が届かない孤立地域との間でのEメール送受信を可能とする。また、実証実験ではドローンが使われたが、実用に際しては固定翼型の無人航空機の使用も想定されている。
東日本大震災では情報通信インフラに甚大な被害が発生した。固定通信の約190万回線が被災し、移動通信の約2万9000局(うち携帯は約1万5000局)の基地局が停止したといわれている。その結果、家族の安否確認や孤立地域の支援、傷病人の救護、避難所の救援物資の手配などの避難者支援、さらに企業のBCPにかかわる人材や設備の状況確認などに迅速に対応することが困難となった。大規模な災害時、通信を確保することの重要性があらためてクローズアップされたわけだ。

避難所の装置
孤立した被災地との通信を確保する有効な手段
そのため東日本大震災後、大手通信事業者は災害時を想定し、さまざまな対応策に取り組んでいる。
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