土佐町 独居老人の見守りに、安心してくらせるシステムを構築

核家族化、過疎化により独居老人は増加傾向にある。不安を抱える住民にとって、見守りシステム構築は喫緊の課題だ。高知県土佐町では「IP版緊急通報端末」と「安否センサー」を取り入れ、ICTを活用したまちづくりをめざす。

変化する社会情勢に応じ、見守りシステムを導入

土佐町は「IP版緊急通報端末」と「安否センサー」による高齢者の見守りシステムを構築

過疎化や高齢化が進む日本では、高齢者の在宅生活における不安解消は地域を上げて取り組むべき課題となっている。四国中央部吉野川源流地域に位置する、人口約4,000人の高知県土佐町もその例外ではない。

これまでも光インフラを活用した告知端末を各家庭に配置し、緊急時など一斉放送を行なうことで住みよい環境づくりへ対策をしてきた。しかし今後は独居老人の増加が懸念されている。病気や怪我、認知症など在宅生活に不安を抱える住民へ向け、異常が生じた時にそれを察知し、敏速な対応を取れる仕組みが望ましい。

土佐町役場総務企画課の澤田智則氏は、「今後、都市部でも重要な問題となる独居老人の増加に伴い、周囲との関わりによる、安心安全を提供する必要が高まってきました」と話す。変化する社会情勢に対応する形で、NTT西日本が提案する見守りシステム導入に踏み切った。

コールセンターと連携し、敏速な安否確認

緊急・異常時はコールセンターから近隣の支援者に連絡する仕組みで、高齢者が安心して暮らせる環境をつくった

それぞれの独居高齢者宅に「IP版緊急通報端末」と「安否センサー」を設置。緊急時には端末のボタンを自ら押すことで、県外へ設置されたコールセンターへ通報が入る仕組みとなっている。また居間や寝室、出口に設けられた安否センサーは、24時間人の動きを検知する。起床、就寝、外出など一日の生活リズムをコールセンターが確認し、異常を感じた際には近隣の支援者へ確認を要請してくれる。連絡を受けた支援者は早急に現場へ駆けつけて、安否の確認を行なう。このように地域が一丸となりお年寄りを見守るシステムが可能となった。

さらに土佐町では、老人だけでなく若い世代の健康づくりにも、ICTを活用している。血圧などの健康データを蓄積し、情報の基盤を整備。自分自身の健康データへ簡単にアクセスできるサービスを構築することで、地域住民すべてが不安なく暮らせる町となるように構想を練っている。

少子高齢化社会の始まりに向け、それに応じた社会環境の整備は地域で暮らす住民にとって大きな関心ごとの一つ。ICTを駆使し社会システムを設計した土佐町の取り組みは、全国の自治体が抱える課題解決へ向け一つのヒントとなるだろう。

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