無電柱化により自治体に活路 美しく、安全で、快適な街づくり

欧米はおろかアジア諸都市よりも無電柱化に後れをとる日本。11月10日に開催された「無電柱化の日シンポジウム」では日本の無電柱化への取り組み、成功例、整備効果などが議論された。

先進的な東京23区でも無電柱化率7%

数字の1を電柱に見たてた11月10日「無電柱化の日」、さいたま市で「無電柱化の日シンポジウム」(主催:読売新聞社)が開催された。今年度の通常国会で「無電柱化推進法」が成立する見込みだったが、来年度の通常国会に先送りされた。しかし、2020年五輪パラリンピック開催や観光立国推進の動き、さらに想定される首都圏直下型地震の発生などから、景観や安全性に関心が集まる中、この日、会場は満席。松原隆一郎氏(東京大学大学院教授)の基調講演「無電柱化まったなし」に来場者は熱心に耳を傾けていた。

無電柱化は「防災」、「安全・快適」、「景観」などを目的に、1986年から旧建設省(国土交通省)の「電線類地中化計画」によって推進されてきた。2015年度までの実績は総延長で約9000㎞にも及ぶ。ところが、計画が進められた当時3007万本だった電柱の総数は2012年には3552万本と逆に増加している。現在でも毎年7万本ずつ増えているのだ。

それでは海外ではどうなのだろうか。ロンドンやパリでは戦前から無電柱化率(道路の総延長内での割合)は100%、ベルリンでは99%。ニューヨークでも1970年代の72%から40年間で87%へと無電柱化が進んでいる。また、日本より遅れていると思われがちなアジア諸都市でも、じつは日本よりも無電柱化が進んでいる都市が多いのが現状だ。例えば、ソウルは80年代の17%から46%へ。北京が34%、マニラの高級住宅街・マカティ地区では40%、ジャカルタのコタ駅周辺が35%。比べて、大阪は5%、観光立地の京都がなんと2%、最も進んでいる東京23区ですら7%なのだ。松原氏は「日本は一人負け状態にある」という。

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