「地道」こそが本質 イノベーションの紆余曲折を追体験する

――執筆の経緯、また発行後の反響をお聞かせください。

渡辺:2016年に、北川さんが私の設立したUCI Lab.を題材に研究論文を出されたのですが、フィールドワーク中の対話などで私自身の実践や考えが言語化されることを経験し、さらに発展させて本にすれば面白いと感じました。その後、別の接点でお会いした比嘉さんを加えて企画を進めることになりました。

比嘉:読者の反応はさまざまで、その違いや共通点を興味深く拝見しています。本書では私たちが協働した企業プロジェクトの事例を複数紹介していますが、守秘義務により表に出せない部分もある一方、現場のやり取りや思考は最大限記載しました。アイデアやイノベーションはブラックボックス的なところで生まれる印象がありますが、それと逆の、実際の人と人のやり取り、生々しい思考プロセスの部分が出せたかなと思います。

北川:ビジネスと研究活動を並行している方など、相容れないように見えるものを限られたリソースの中で両立させようと奮闘している方々からは、この本への共感や、よくぞ言葉にしてくれたという感想もいただいています。

――執筆から見えたイノベーションのあり方とはどのようなものでしょうか。

渡辺:イノベーションを起こすために「これが正解」とは書いていませんし、有名な成功事例も登場しません。本書では匿名化した現場の実践だけを描いています。しかし、イノベーションのあり方はそうした細部にこそ宿ります。ゴールが見えないなかで、「問い」から考え続けなくてはならない方のヒントになれば嬉しいです。

北川:新たな知識は頭の中だけで生まれるのではなく、個人の行いの連鎖や、複数人の行いの連鎖のなかでつくられていきます。本書で綴られる、連続する行為を追うことで、その時々で実は広大な可能性が広がっていたことを感じ取っていただけると思います。

比嘉:細かな事例の記述を読むことで、イノベーションに向きあう現場の追体験になるのではと思っています。現場で起きていたことは、紆余曲折や試行錯誤の連続でした。完璧なゴールなどない取り組みですから、こういうことをずっと続けていくしかないのだと考えています。

――『 地道に取り組む』がイノベーションの本質を表していますね。

 

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