新規上場化粧品企業対決 I-ne対プレミアアンチエイジング

コロナ禍で外出機会が減り、化粧品分野はメイク商品を中心に打撃を被ったが、ECを主な販売チャネルとする新興企業の上場も相次いだ。いずれも東証マザーズに上場したI-ne、プレミアアンチエイジングの動向を見る。

自在な発想で急成長する、2つのファブレス美容企業

コロナ禍は化粧品関連の業界にも大変動をもたらし、口紅を筆頭に、頬紅やファンデーションなどが大幅に売上を落とした。一方、スキンケア用品などは、巣ごもり需要が追い風となったようで、2020年9月、10月と、スキンケア、ヘアケアなどの人気ブランドを展開する2社が相次いで上場している。

9月に東証マザーズ上場を果たしたI-ne(アイエヌイー)は、2007年の設立。2015年発売の「BOTANIST」シリーズは、サロン向け高級品のメーカーに製造を委託、1500円台という戦略的価格設定で売上を伸ばし、スタイリッシュな美容家電「SALONIA」シリーズとともに同社の主力となっている。

同社は、AIによって世界のニュース・口コミ・SNS等2000万件以上を分析してトレンドをキャッチし、自社クリエイターが100社以上のOEM先と連携しながら、アイデア発掘から商品開発、販売に至る各フェーズにKPIを設ける開発モデルを採用。確実な需要予測とヒット性を確保する事業スタイルに独自性があり、DtoCと6万店の販売網を融合させる、いわゆる「OMO(Online Merges with Offline)」のビジネスモデルも強みだ。2019年には日本コカ・コーラとともに合弁会社を設立、飲料分野への進出も模索するなど、今後も様々な分野でファブレス/OMOモデルを活かしていく方針だ。

10月に東証マザーズに上場したプレミアアンチエイジングもファブレス企業で、累計販売数が1700万個を超えた化粧落し剤「クレンジングバーム」を中心とする「DUO」シリーズ、オールインワン美容液の「CANADEL」を主力に、積極的なテレビCM展開もあって、DtoCを軸に実績を伸ばしている。コロナ禍による消費者の巣ごもりは、むしろ美容への関心を高め、ECの売上構成比が77%を占める同社のスキンケア・基礎化粧品の落ち込みは限定的だった模様だ。100人以下で200億円以上を売リ上げる少数精鋭態勢で、上場を機に優れた人材獲得に力を入れる。

2020年に誕生した新たなブランド「immuno」は、オーガニック植物素材をもとに、肌への効果を科学的に検証して開発され、洗い流した後の環境への影響も考慮に入れた持続可能な商品づくりを志向している。将来的には、こうした化粧品分野のみならず、健康食品や美容医療など、アンチエイジング全般に関わる事業もポートフォリオに加えていく計画だ。

ECを軸に、従来的なスタイルにとらわれない、新しい発想で自在な事業展開を目指す新世代ファブレス美容企業2社。今後の進化が注目される。

両社概要

I-ne(アイエヌイー)

創業 2007年
本店 大阪府大阪市
代表 大西 洋平(代表取締役社長)
資本金 31億8, 000万円
従業員数 256名
事業内容 化粧品、美容家電、トイレタリー、ヘルスケア
関連商品の製造・販売、販売店の企画開発・運営、
E コマース事業

出典:同社ホームページ/成長可能性に関する説明資料

 

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