2019年12月号
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「事業をつくる人」を育てる

就職せずに起業した人の実態とは イメージ覆す調査結果が判明

古屋 星斗(リクルートワークス研究所 研究員)

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学生時代に会社を作る若者が増える中、キャリアの選択肢としての起業に注目が集まる。新卒後に就職せず、起業するとどうなるか。経済状況や結婚、仕事への満足度は。リクルートワークス研究所の解析結果が、初職で起業した人の意外な実態を明らかにした。

古屋 星斗 リクルートワークス研究所 研究員

日本では、教育を終えた若者の大多数は企業・団体に就職して「社会人」になる。就活をして内定をもらい、4月になれば一斉に被雇用者としての毎日が始まる。雇われずに働く人になるのはごく一部だ。

このような、卒業即起業の道を選んだ「初職起業選択者」は、経済・社会的にどんな状態にあるのか。リクルートワークス研究所研究員の古屋星斗氏は、同研究所の持つデータを活用し、分析した成果を2018年に発表した。この研究から垣間見えたのは、従来のイメージを覆す初職起業者の姿だ。

収入多く、仕事満足度が高い起業者

古屋氏はこの研究テーマを選んだ動機について「日本には新卒一括採用という非常に効率的なシステムがある。あえてそれを蹴って起業した人はどういう人なのかに興味がありました」と話す。国内での起業が減少傾向にある中、一方では若者の職業観・キャリア観が激変しており、学生のうちに会社を作ってみた、という人の話を聞くことは多い。この状況下で、若者が社会に出るにあたり、起業家というキャリアを選ぶとどうなるかを可視化することも目的の1つだ。古屋氏は、イノベーターを増やすためにも、「キャリアの1つとしての起業」を根付かせる必要があると考えている。

今回の研究では、30歳以上の男性で、「初職において就業形態が会社役員だった人」と、「初職が正規の職員・従業員だった人」を比較した。現役世代とシニア世代、合計約1万9000人が分析対象になった(うち、初職起業者の数は600人弱)。ここから、様々な興味深い実態が明らかになっている。例えば、現役世代の初職正規職員は9割以上が現職でも被雇用者だが、初職起業者でも1割ほどは被雇用者として働いていた。また、配偶者や子どもがいる率は、現役・シニア世代とも、初職起業者の方が高い。

経済的影響についても解析した。若くして起業して失敗し、路頭に迷うという話はよく聞くが、現実の頻度はどのくらいなのか。結果、初職起業者の年収はばらつきが多いものの、平均すれば初職正規社員の平均を上回ることがわかった。年収帯で見ると、年収800万円以上と、年収100万円~200万円の層は初職起業者が多く分布している(下図参照)。シニア層では、初職起業者の平均年収が約530万円であるのに対し、初職正規社員は同約300万円。定年退職がない分、初職起業者の方が高齢になっても収入を維持できている。

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