「デジタル政府」先進国対決! デンマーク vs. エストニア

早稲田大学電子政府・自治体研究所などの調査によると、各国電子政府進捗度の2018年第1位はデンマーク。4位にエストニアが入った。早くから行政デジタル化に乗り出し、世界の模範になっている両国の取り組みを見る。

国家主導で急速なデジタル改革を果たした2国

早稲田大学電子政府・自治体研究所などが、世界の主なICT先進国65カ国を対象に実施した調査によると、2018年の電子政府進捗度は、昨年2位のデンマークが1位となり、2位がシンガポール、3位が英国、4位がエストニアとなった。

行政の手続きや業務などのデジタル化・ペーパーレス化は世界の潮流だが、1位のデンマークはいち早く取り組み、2004年には国・自治体・省庁を横断する行政ポータルサイトの運用を開始した。2007年にはすべての政府機関で個人認証ができる「EasyID」運用を開始、2011年には行政へのデジタルアクセスが義務化された。国民は窓口に出向かなくてもパソコンから各種手続きができ、電子私書箱経由でやりとりするため、文書の郵送はない。

しかも、こうしたシステム構築には民間銀行も協力していることから、オンライン口座も同一システム上にあり、銀行残高確認も1回のログインで済ませられる。デジタル化によって、政府や市民が節約できた額は数百億円に達するという。

国家主導で早くから政府のデジタル化進めた国といえば、4位のエストニアが名高い。1997年には電子政府化の取り組みを開始、2001年にはデジタル情報連携の基盤となる「X-ROad」を導入している。行政機関が相互にリンクされることで業務が効率化され、市民は、国政選挙を含む選挙投票や確定申告,会社設立などがインターネット上でできるなど、現在ほぼすべての公共サービスが24時間365日、オンラインで利用可能だ。

2014年には電子居住権(e-Residency)を導入し、国民・居住者以外も電子政府システムが利用できるようになった。企業設立・運営を国外から行えるようにすることで、外国からの投資、企業誘致等を促進するのが狙いだ。それもあってか、「Skype」を生んだイノベーティブなこの国のスタートアップ数は欧州最多。2018年には「e-Residency2.0」として、利便性向上の新段階を迎えている。

翻って日本はどうか。特にスマートフォンの利活用で世界に遅れをとり、公的個人認証など紙ベースの手続きも残り、オンラインで可能な手続数は12%程度と、デジタルトランスフォーメーションの歩みは遅い。世界に先んじて人口・労働人口が減少する中、利用者目線での行政のオンライン化、ワンストップ化を強力に推進する体制づくり、組織改革が求められる。

両国概要

デンマーク王国

面積 約4.3万m2(九州とほぼ同じ)
人口 約578万人(2018年)(兵庫県とほぼ同じ)
首都 コペンハーゲン
言語 デンマーク語
政体 立憲君主制
元首 マルグレーテ2世女王
政府 自由・自由同盟・保守党連立政権
首相:ラース・ルッケ・ラスムセン(自由党)
略史 1397年 北欧三国によるカルマル連合成立
1660年 絶対王政
1945年 第二次大戦終了/ドイツ占領から解放
2000年 国民投票でユーロ参加を否決

 

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