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今年3月に発表された第90回アカデミー賞では、日本人が2名ノミネートされ話題を集めた。そのうちの一人が、夫のマックス・ポーター氏とのチーム『タイニーインベンションズ』名義で短編アニメーション部門にノミネートされた桑畑かほるだ。この部門では日本人女性初の快挙。アメリカを拠点に世界で制作を続ける彼女のアーティスト活動と次なる一手に迫る。
文・油井なおみ
第21回文化庁メディア芸術祭で『ネガティブ・スペース』は優秀賞を受賞。6月に国立新美術館で開催された受賞作品展では、実際に作品に登場した小物やセットの一部などが展示された
アカデミー賞ノミネート作となった『ネガティブ・スペース』をはじめ、彼女たちのチームは手作りとデジタルを融合した作品を主に手掛けている。桑畑の手によってひとつひとつ作られたシャツやベルト、部屋や街並みが“ストップモーション”という緻密な撮影を経て、温かな雰囲気と愉快な躍動感に溢れる映像に生まれ変わるのだ。『ネガティブ・スペース』は情感豊かな美しい作品として評価されたが、これまでも彼女たちの丁寧な手仕事をベースとした作品は世界の映画祭で高く評価され、すでに140を超える賞を受賞している。
世界を舞台に華麗に活動しているように見える桑畑だが、アニメーションの世界はそう甘いものではないらしい。
「ニューヨークの美大を卒業してから、フリーでテレビシリーズの制作スタッフなどの仕事を請けていました。当時、拠点にしていたニューヨークでは、CMやテレビシリーズの仕事が主。アニメーターでフルタイムの仕事は少ないので、何の保障もなく、個人で仕事を請けるのが一般的なんです」
フリーを2年ほど続けた2007年、仕事で出会ったポーター氏と結婚。これが仕事でも新しい局面となった。
「NEGATIVE SPACE」©IKKI Films / Manuel Cam Studio アカデミー賞ノミネート作の『ネガティブ・スペース』はフランスの制作会社イッキーフィルムズとマニュエルカムスタジオと共にフランスで制作。彼らの作品は“ストップモーション”と呼ばれるコマ撮りで撮影するため、制作期間も費用もかさむ。この作品は企画・脚本に1年、制作に9か月を要した
結婚した当初、桑畑はフリー。ポーター氏はデザイナーとして会社に所属していたという。
「お互い“誰かの作品の一部”という仕事しかできていない状況だったんです。それが次第に、自分の作家性が失われてしまうような危機感に苛まれてきて、自分が監督になって、自分の作品を制作したい、勝負したい! と、そんな思いが溢れてきたんです。それでいっしょに独立しようということになり、『タイニーインベンションズ』を立ち上げました」
とはいえ、最初の2年ほどはふたりの作品に対するオファーはほとんどなく、フリーで“誰かの作品の一部”としてテレビシリーズやCMなどの仕事も継続していた。そうして得た収入を自分たちの作品の制作費にまわし、創作し発表し続けていった。
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