2018年1月号
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「理念」こそグローバルリーダーの資質、注目の新刊

月刊事業構想 編集部

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国際社会が抱える課題には、国家間で絶えず繰り返される紛争をはじめ、長く解決困難を強いられものが多い。公共的課題に対する意識が問われるなか、日本人は、西欧との対比で、「パブリック(公的)なるものへの意識が薄い」と論じられることが多い。住宅地の外観に統一感が薄いことはよく例示される。他方、余所者にも親切を施すなどは「日本人らしい」美徳として挙げられることがある。日本人をめぐる一見正反対な行論を、どう客観的に受け止めたら良いのか。本書では、こうした個々の生活文化を捉えるのでなく、その背後にある「公徳心」に着目し系譜的に論じている。

日本らしさを発揮し 国際的活躍を

「公徳」は「徳(道徳)」と異なり、民族・宗教の別を超えた普遍的な「協調と調和の倫理哲学」である(本書18ページ)。近年の英米圏では civic virtue への注目も集まるが、漢語との比較から日本と中国の哲学的系譜を論じる著者は、むしろ普遍性に注目する。強いて英語で表せば「unbiased harmony」であると留保しつつ、敢えてkotokushin(公徳心) と記すことを提言する。

筆者は公徳心の発現を、古くは聖徳太子などの偉人に、近代では政財界のリーダーたちに見出す。新渡戸稲造・杉原千畝は国連外交の舞台で、また渋沢栄一は民間経済外交の舞台で、「国際人」としてリーダーシップを発揮した。新渡戸は「武士道」、渋沢は「合本資本主義」といった概念で、また杉原は亡命ユダヤ人へのビザ発給を通じ、それぞれ調和の精神を発揮した。本書では各人の言に「公徳(または智徳)」の表現を探ることで分析されている。

現代において、産官学各界を挙げてグローバルリーダー育成に向けた様々な教育施策が講じられている。著者は自身も大学経営に携わる中、「公徳」に根ざすグローバルな視野と心身の健康を踏まえた教育を実践し、成果を上げている。最も大切なのは、先端情報技術の導入や新しい制度ではなく、教師と学生が共に抱く「理念、モチベーション」だと伝えてくれる。

公徳の国 JAPAN

  1. 倉田信靖(著)
  2. 本体1,500円+税
  3. 明德出版社
    2017年10月発行

 

 

倉田 信靖(くらた・のぶやす)
東京国際大学 理事長・総長

残り48%

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