行政と企業の協創で地域課題を解決 兵庫県豊岡市
行政と企業の協働・協創により、地域の課題を解決するとき、その場では何が起きるのか。潜在力を秘める自治体に対して、多彩な企業が強みを生かした提案を提供する、その支援のプロセスを紐解き、「成功までの過程」をリアルタイムで共有しながら、産官学で協創を目指す研究が始まった。
「ある地方自治体が、自身が抱える問題を、企業や大学との連携により解決した」。そんな話を聞いたとき、現場ではそのきっかけと仕組み、成果はいかに?と好奇心をかき立てられる。
事業構想大学院大学が主催する産官学連携ベストプラクティス研究は、自治体と企業の連携の「中」で何が起きるのか、その過程をリアルタイムで追い、成功事例を知識として共有しようというプログラムだ。企業が持つそれぞれの強みを生かした、異なる切り口での支援が、どのような変革を自治体にもたらすのか。
2017年10月に開催された第1回目の研究会では、今回のベストプラクティス模索の舞台となる自治体である兵庫県豊岡市の現状が紹介され、また日本航空(JAL)、JTB、山下ピー・エム・コンサルタンツ(山下PMC)の地方創生関連の取り組みも共有された。
同研究には、NTTドコモ、花王生活者研究センター、神戸大学、事業構想大学院大学の有識者委員も議論に加わり、豊岡市への支援策と、その実施案を策定する。
フィールド・豊岡市の事情
1回目の研究会では、まずは豊岡市の大交流課・課長の谷口雄彦氏が、研究のフィールドとなる豊岡市について紹介した。兵庫県北部の豊岡市は、約700平方キロメートル、東京23区より少し広い市域に8万4000人が住む。志賀直哉の小説「城の崎にて」で有名な城崎温泉を中心とした宿泊・飲食業と、カバン製造業を市の基盤産業として位置付けている。市が目指すのは、「小さな世界都市」だ。市民の暮らしを守ることで、世界に通用するローカルを磨き、「地方で暮らす価値」の創造に向けて取り組んでいる。
一方、同市は問題も抱えている。例えば、国内外の観光客の集客。城崎温泉は歴史ある温泉街であり、外国人宿泊客数は2011年からの5年で40倍にも伸びているものの、地理的には外国人観光客の「ゴールデン・ルート」から外れている。古い和風の温泉街の良さへの理解を促し、その価値に共感できる観光客を内外から集める手段を模索しているところだ。
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