250億円を調達する企業も 沸騰するICO=新規仮想通貨公開

今、世界でにわかに注目を集めているキーワードが「ICO=新規仮想通貨公開」だ。今年7月のICOによる資金調達額は、全世界で600億円を突破した。ICOはスタートアップの新たな資金調達手段として根付くのだろうか。

フィリップス・アバサ(プリモ代表取締役)

Initial Coin Offering (ICO、新規仮想通貨公開)は今年に入ってから、スタートアップ界隈でバズワード化している。スタートアップにとって、これまでにない形で巨額の資金をもたらす可能性があるからだ。

ICOとは、何なのか。QRコードをスキャンするだけで買い物ができるサービス「PRIMO(プリモ)」を日中米で展開するITベンチャー・プリモの代表で、自身も9月中のICOを検討しているフィリップス・アバサ氏は「世界の金融システムを変える可能性がある。インターネットの登場より衝撃的」と表現する。

クラウドファンディングとの違い

フィリップス氏は、2008年に日本法人を持っていない海外企業向けに決済サービスを行うShyft(シフト)を起業。その後、オンライン支払いサービスを行うNeovia(ネオビア)で日本カントリーマネージャーに就任し、2015年から独立して「プリモ」を手掛けている。このキャリアを見ての通り、フィリップ氏は常に金融・決済関連の事業に携わってきた。

ICOと仮想通貨は切っても切り離せないが、その代表格のビットコインに関しても、フィリップス氏は13年にビットコインの買取・販売を行うPegapay(ペガペイウォレット)を開発している。決済とビットコインをはじめとする仮想通貨に通じるフィリップス氏は、ICOの仕組みをこう解説する。

「例えばプリモがICOをするときはまず、プリモの仮想通貨を作ります。そして新しい事業を始める際に、資金調達の手段としてそのコインをオンライン上で売りに出します。プリモの事業に関心を持った人がオンライン上でコインを購入し、プリモはコインの売却益を手にすることができます。購入者にとってコインはクーポン券のようなもので、多くの場合、新事業が立ち上がった時にお得に利用できるようになっています。出資者は、プリモの支援者と言い換えることもできます」

新事業の立ち上げに向けた資金調達という点で、クラウドファンディングを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、ICOとクラウドファンディングは決定的な違いがある。

クラウドファンディングは一度お金を振り込んだら、製品なりサービスが完成するまで首を長くして待つしかない。一方、ICOでは出資者が自分のコインを売買できる。事業に魅力があればコインの購入希望者が増え、コインの価格が上がる。逆に価値が低いと判断されたら、そのコインを持っている意味が薄まるから求める人が減って価格が下がる。現在、このコインの売買が非常に活発化しており、価格が急騰しているコインもある。

需要によってコインの価格が変動するこの仕組みは株式上場=IPOに似ているが、IPOがある程度実績と将来性のある企業を対象にしているのに対し、ICOは実績どころか、企業であることすら問われない。重要なのは、チームとアイデアだ。また、IPOは出資者に株を渡すので経営にもかかわるが、ICOは純粋なる資金調達である。そう考えると、ICOはクラウドファンディングに株の売買の要素を組み合わせたシステムと言えるだろう。

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