2017年5月号
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MPDの本棚

異質さを恐れず、挑戦する「アジアのウミガメ」となれ

加藤 順彦(個人エンジェル事業家)

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異質な環境で自らを鍛えよ

著者は大学在学中から日本での通信事業設立に参画し、自らの創業を経て、シンガポールに渡り永住権を取得し、起業家支援に携わる。海亀とは中国語で、アメリカで起業し中国に凱旋した成功者を指す。会社勤務が主流の「日本社会に国外から刺激を与え」、世界に伍する起業家を輩出させたいと語る。なぜシンガポールか。世界の金融拠点が集中し、投資動向を肌で知るに最適な土地であるからだ。

そのために加藤氏は、同調圧力と一線を画し、「普通」と異質な環境に身を投じ続けた経験から、常に新しい波を感じる姿勢の大切さを説く。今日、環境が人間を作る=「所属するコミュニティが自分を形成する」ことは別の危うさをはらむ。インターネットの普及で、誰しも共有する「普通」さが薄れる一方、趣味や志向が分節化し、同質的な居心地の良さに浸ることがたやすくなった。「異質さを楽しもう」と加藤氏は語る。

また「追い風を読み、成長の尻馬に乗ること」の大切さも、繰り返し説く。「能力は普通でもいい」と言う。だが、不測の失敗に屈せず「風」を掴む嗅覚はむしろ、「環境」から育まれる起業家の資質と言えまいか。

進取の精神に学べ

日本でも堀江貴文氏ら、21世紀初頭に世を席巻したIT起業家の活躍は記憶に新しい。ライブドア・ショックを転機とした彼らの帰趨はドラマチックですらある。更に世代を下ると、2010年代にプログラマーの友人三人でゼントを起業した古市憲寿氏がいる。「身近な友人」の天才プログラマーを実例とした著作『僕たちの前途』は、「自分がやりたいことを仕事にした」起業家の生態をスタイリッシュに描いている。これら二者に比べ、加藤氏が直面した挫折や理不尽さとの苦闘は、一層リアルで泥臭く、ゆえに実感を伴って響く。

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