キーワードは「家族化」 ペット市場の新規参入チャンス

日本の1世帯あたりのペット関連支出は、この10年で約1.4倍に増えている。ペットの家族化が進み、新しいサービスや製品への需要が拡大しているためだ。健康医療やレジャー、見守りなどの分野で、数多くのビジネスチャンスが生まれている。

ペットの地位が子ども並みに向上し、親が子どもに「してあげたい」「必要だ」と考えるほとんどすべてのサービス・商品に対し、市場が広がってきた

モノから家族へ変化する人間とペットの関係性

日本におけるペットの飼育数は、猫が約987万4千頭、犬が991万7千頭と、合計で1,979万頭に達する。これは15歳未満の子ども(約1600万人)の数を大きく上回る数だ(一般社団法人 ペットフード協会「2015年全国犬猫飼育実態調査」)。ここ数年、飼育数自体はやや鈍化しているが、猫の数が犬とほぼ同数まで増えたことなどで、ペットビジネスの市場規模は約1兆4000億円を超えてなお成長を続けている(矢野経済研究所調べ)。

武井 泉 三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員

ペットは人間社会において重要な役割を担ってきた。古くは、犬は番犬、猫はネズミ退治といった「働き手」であり、労働の対価として食事やねぐらを提供されるという側面があったが、次第に「愛玩動物」というモノとしての役割を担うようになった。さらに近年は、経済的な豊かさの向上と核家族化・少子化の進行により、ペットは「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」へと役割を変え、家族の一員としての認識が強まっている。

ペットビジネスに詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの北洋祐研究員は、「大都市への人口集中も、ペットの家族化に拍車を掛けている」という。

「住宅が狭く、交通量が多い都会の住宅事情から、ペットの小型化と室内飼育化が進んでいます。ペットと室内で過ごす時間が増えれば、わが子のように自然と愛情が増すものです」

国土交通省によれば、大都市圏を中心に2000年頃からペット飼育可のマンションが急増。2010年以降の新築では、9割以上が条件付きで飼育可となっていることも影響しているようだ。

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