「埋もれない」地域PR動画の作成法

観光振興や移住・定住促進に向けてPR 動画を作成する自治体が増えているが、「動画内容で他地域と差別化できない」、「せっかく作ったのにPV 数が少ない」といった課題も多い。そんな中、総合エンターテインメント企業としての強みを活かして実績を積み上げているのが、ポニーキャニオンだ。

ポニーキャニオンが作成中の、伊丹市の移住定住促進プロモーション動画。移住定住をお見合いになぞらえ、伊丹市を“地味な男性”に擬人化。会話が進むなかで交通基盤や子育て環境など、隠された市の魅力が明らかになっていく。※本誌掲載時、制作過程の為、画像にタイムコードが表示されています。

個性派動画で地域をアピール

「もしも伊丹さんと結婚したら...」。今年6 月に行われた、伊丹市シティプロモーション動画作成委託業務のプロポーザルで、伊丹市のハートを射止めたポニーキャニオン。市を擬人化しお見合いさせるという斬新な発想で、審査員の心を掴んだ。

国際空港である大阪国際空港(伊丹空港)のある町として知られる伊丹市。大阪市まで約10km と近く、子育て環境や医療、交通インフラも整っており住むには便利な町だが、近隣の尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市などと比べ、いまひとつ目立たないのが実情だ。

伊丹市総合政策部の中田由起子氏は「伊丹市は2025 年に人口20 万人を目指し、移住定住の促進に取り組んでいます。そのために不足しているのが、ブランディングやプロモーションです。より広い地域へ伊丹市の魅力を発信するために、波及力のある動画を使ったPR を考えました」と話す。

中田 由起子 伊丹市 総合政策部都市ブランド・観光戦略課 主任

一方、動画作成の委託事業者として選ばれたポニーキャニオンは動画、イヴェント等をはじめとするエンターテインメント・コンテンツ制作を中心とした地域プロモーションを行う“地域共業事業”を2015 年から本格的に始動。「共に歩む」という意を込めて“協業” としていないことが目を引く。地域活性化を目的に、自治体の依頼は既に30 を超える。

「レコード会社の印象が強い弊社ですが、音楽だけでなく映画やアニメ制作など、幅広い領域でエンターテイメント事業を展開してきました。幅広い事業領域で培ってきたノウハウや、即時性の高いエンターテイメントの力を活かして、地域活性化のお手伝いをしたい、そんな思いで地域共業事業を立ち上げました」と、ポニーキャニオン地域共業ワーキング・チーム座長の村多正俊氏は話す。

村多 正俊 ポニーキャニオン 地域共業ワーキング・チーム 座長

大手広告代理店にはない強み
動画の拡散にまで責任を持つ

自治体プロモーション動画は、広告代理店が受注するのが一般的だ。そんな市場になぜ、ポニーキャニオンは食い込むことができたのだろうか?

ポニーキャニオンの強みは、音楽から映像・映画、アニメ、書籍、スポーツ等、“自社”でコンテンツを企画制作、宣伝、販売をしていること。これは、外部の制作会社を使う広告代理店にはない強みだ。「音や映像・映画、また著作権に到る様々なプロフェッショナルが社内におります。案件に応じてワーキング・チームに籍をおくメンバーを募り、それぞれのノウハウとネットワークにより最適な方法を編み出します」(村多氏)。

また、伊丹市の中田氏は、「動画を作って終わりではなく、それをいかに拡散していくかというPR の部分で、ポニーキャニオンは他社とは段違いの提案をしてくれた」と話す。

広告代理店などがメディアへ情報を発信する場合、PR 会社を使うのが一般的だが、ポニーキャニオンの場合、エンターテインメント企業としての長い歴史の中で培われてきたネットワークをフルに活用して、テレビ局や新聞社、Web メディアの担当者にダイレクトにアプローチできる。また、自社運営するホームページやSNS の媒体・拡散力も強い。

「予算をかけて作成したのに、ほとんど見られていないという自治体プロモーション動画がネット上に数多あります。私達のポリシーは、最大限いいモノを作り、かつ拡散にも責任を持つということ。PR 戦略もしっかりと提案書に盛り込みます」(村多氏)。

そして、伊丹市が十数社の候補者からポニーキャニオンを選んだ最大の理由が「熱量の大きさ」だという。「委託事業者選定のプレゼンでは、メンバーが動画内容を寸劇で披露してくれました。そんな会社は他にいませんでしたし、いかに自分たちの提案に自信を持っているかがわかりましたね」と中田氏は笑う。

外部目線で魅力を発掘
〈点〉ではなく〈線〉で地域活性化

地域によって、潜在価値や魅力は千差万別。各地域の個性を活かした質の高いコンテンツを作成する秘訣は、「いかにその地に密着し、情熱を持って制作できるか」だと村多氏は話す。

伊丹市のプロポーザルに臨むにあたり、村多氏やチームメンバーは事前に現地へ何度も足を運んだ。訪れた分だけ、その地を好きになるという。「伊丹市は、調べれば調べるほど、地域資源の宝庫で環境の整っている、ポテンシャルの高い街だなと感じました」(村多氏)。

一方、伊丹市では、ポニーキャニオンとともに製作することで、外から見た伊丹市の良さに気づかされたという。

「ずっと住んでいると、自分の町はこうだと勝手に思いこんでいる部分があります。今回、共に動画を制作したことで、伊丹市は磨けばまだまだ光るという希望や勇気を得られました。それは動画以外の取り組みにも活かせると思っています」と中田氏。村多氏も「地元の人が見落としてしまう魅力を外部目線で発見し、磨くことも私達の役目です」と話す。

伊丹市では、「もしも伊丹さんと結婚したら...」に続く、子育て編といった続編の動画制作も検討しているという。これも、ポニーキャニオンが続編に繋げやすい動画シナリオを作成した成果である。「我々は〈点〉ではなく〈線〉で、地域活性化のお手伝いをしていきたいと考えています」(村多氏)。

プロモーション映像だけでなく、エリアにマッチしたコンテンツの制作、イベント運用などにも視野を広げ、地域に密着した形で息の長い付き合いをしていく。 ポニーキャニオンと地域との共創で生み出される新しいエンターテイメントが、日本の“元気”の源となるかもしれない。

大阪国際空港の滑走路に隣接し、親子連れで賑わう「伊丹スカイパーク」

 

お問い合わせ

  1. 株式会社ポニーキャニオン 地域共業ワーキング・チーム
  2. TEL:03-5521-8009 (9:30~18:00)
  3. mail:local@ponycanyon.co.jp
  4. URL:http://local.ponycanyon.co.jp/

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