2015年8月号

販路拡大のためのEC活用法

楽天、地方で発揮される「真価」

楽天

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自治体との連携に力を注ぎ、全国各地における支社展開を加速させている楽天。ECショッピングモール「楽天市場」を統括する常務執行役員・高橋理人氏が、地域活性に懸ける楽天の本気、ECの可能性を語る。

高橋理人(たかはし・まさと) 楽天 常務執行役員

─楽天は創業来、地域活性にどのように取り組んできたのですか。

高橋 楽天は、97年の創業時から「インターネットを通じて、人々と社会に力を与えること」を理念に掲げてきました。そこには、地方を元気にするという思いが込められています。

創業当時、すでに複数の大手企業がEC(電子商取引)のモールを手がけていました。そうした中で、楽天には他社との大きな違いが2つありました。

まず、1つ目として、他社は出店店舗として大手企業を対象にしていましたが、楽天は創業理念の下、全国津々浦々の中小企業や個人事業主を対象にしました。地方でECを始める事業者が増えることで、地域の活性化にもつながっていきます。全国的には無名の店舗でも、インターネットを活用することで、地方から全国へと販路を拡大することができるのです。

そして2つ目が、ECサイトのレイアウト、デザインの自由度です。楽天が用意してフォーマット化するのではなく、それぞれの店舗がそれぞれの個性を活かしながら、自分たちで工夫できるようにしました。デザイン、見せ方の編成権を店舗に委ねたことが、さまざまな店舗の想いが集まる表現豊かな楽天市場をつくりあげたのです。

─店舗の自主性、モチベーションを引き出した結果が、現在の成長につながっているということでしょうか。

高橋 まさにその通りです。楽天の社員が思いつかないような大胆な工夫が、店舗から続々と打ち出されてきました。

私は2007年に楽天に入ったとき、驚いたことがあります。楽天では、年2回・全国6会場で、各地方の店舗が集まるイベント(楽天新春カンファレンス、楽天EXPO)を開催しています。そこでは、各店舗が自らのノウハウを惜しみなく他の店舗にも教え合っていました。これが、店舗さんと楽天とで一緒につくり上げてきた、自走する楽天市場の「場」としての強みであることを実感したのです。

楽天市場は拡大を続け、2014年の国内EC流通総額は2兆円を突破しました。圧倒的なユーザー数(会員数9977万人、2015年3月時点)と商品数(取扱商材1億9000万点以上、同年5月時点)を誇るサービスへと成長を遂げています。

日本は高度成長期以来、東京一極集中で成長を遂げてきました。その流れに楔を打ち込んだ初めての産業が、ECだと思います。

「まち楽」では、全国各地の名産品や伝統工芸品などを紹介

有力店舗を発掘、育成を支援

─現在、ECのプラットフォームを提供する他社も、地方への展開に力を入れています。

高橋 楽天は、IT企業としては珍しく、全国17ヵ所に支社を置いています。約600人のECコンサルタントのネットワークがあり、地域密着でアドバイスを行い、膝を突き合わせて店舗の運営をサポートしています。実際、支社を設けた地域では、店舗の売り上げが大きく伸びています。そうした「人の強み」が、楽天の成長を支えているのです。

また、地方自治体とのパートナーシップも加速させており、これまでに包括連携協定の締結を含めて300以上の自治体等と取り組みを行い、各地の企業の出店支援や国内外に向けた情報発信を支援しています。

─自治体が楽天と組むメリットは、どこにあるのでしょうか。

高橋 ECがうまく回り始めると、雇用が生まれます。ECは小資本で始めることができ、若者が地元に戻ってくる受け皿にもなります。

また、ECで成長を遂げている地元の店舗があっても、自治体の方はそれを知らなかったりします。楽天が間に入ることで、自治体の方が地元の面白い動きを発見し、新しい人のつながりを生み出すことができます。

たとえば、佐賀県では楽天に早くから出店し、楽天市場内でめざましい活躍をした店舗さんが、自分たちに続く店舗を創出すべくアドバイザーとなり、自治体と協力しながらECの新規出店から販売促進までをトータルでサポートする循環が生まれています。

また、楽天を活用すれば、店舗単体では難しい海外展開も容易にできます。現地の流通やプロモーションを楽天と自治体が協力してサポートするので、店舗側は低コストで海外に進出できます。静岡県では、15店舗がシンガポールに進出しました。お芋のスイーツを販売する店舗が人気を集めるなど、従来の産業支援ではカバーしづらかった業態にも、海外展開のチャンスが広がります。

知られざる「魅力」を発信

─近年、ECに参入する事業者が急増している中で、各店舗にとっては、消費者の認知を得るための情報発信も課題になっています。

高橋 楽天では、東京・渋谷にある「楽天カフェ」を情報発信拠点として活用し、各自治体とコラボして、リアルとECを組み合わせて各地の特産品の紹介、販売を行っています。

また、地域の魅力を紹介するウェブサイト「まち楽」を展開するほか、「ご当地総研」というコンテンツにも力を入れています。楽天では1日当たり約52億円もの商品が流通しており、その購買データを分析すると、県民性、地域性に関する意外な発見があります。ビッグデータを活用して知られざる地域の魅力や商品を発掘し、「ご当地総研」で発信しています。

さらに楽天は、次世代の人材育成として、高校生向けに「楽天IT学校」も行っています。地元の店舗の協力も得ながら、高校生たちがチーム別にECサイトの企画・作成、販売までを手掛けることで、実践的にビジネスを学ぶことができます。2015年は47都道府県に拡大して開催しています。

「楽天IT学校」では、高校生たちの目の輝きがどんどん変わっていきます。そうした若者が社会に出ていくことは、地域も元気にもつながります。

人は財であり、人の可能性を信じることが、楽天の強みなのです。

「ご当地総研」は、楽天市場の購買データをもとに、知られざる地域の魅力や商品を発掘・発信

 

楽天株式会社への

 

  1. 楽天市場 事業地域活性グループ 地方創生担当
  2. TEL.050-5817-7847
  3. e-mail:ec-area-support@mail.rakuten.com
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