2015年3月号
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スティーブ・モリヤマのクリエイティブサロン

メーカーと本気の共創を生むECマーケティングの妙

吉岡晃氏 (アスクル取締役兼COO)

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吉岡晃氏 (アスクル取締役兼COO) text by Steve Moriyama

――法人向けオフィス用品通販最大手のアスクルで、入社以来一貫して新規事業を担当されてきた吉岡さん。閉鎖的といわれる医療の流通業界に見事に風穴を開け、医療介護施設向けビジネスをアスクルの成長ドライバーに育て上げました。現在、アスクルのメディカル&ケア事業部は、医科向け通販業界で最大の売上規模を誇っています。

次の山は、「アスクルの物流および商品調達力」と「ヤフーの集客力」の掛け算をもとに、ビッグデータをもちいて生活者とメーカーを直接つなぐECサービスです。

2012年10月15日に「LOHACO(ロハコ)」を立ち上げ、約半年後の2013年5月の最初の決算では売上高21億円、次の決算では見事に121億円を計上し、事業開始後1年半という国内EC史上最短期間で売上高100億円超を達成しました。さらに2014年5月期は200億円突破が予想されており、破竹の勢いは止まりません。

左)筆者、右)吉岡晃氏(アスクル取締役兼COO)

さて、僕と吉岡さんとの邂逅は実に印象的なものでした。初めて本を上梓した2001年以来、何度も熱心なお手紙をいただいて、ようやくお会いできたのが10年以上たってからでしたよね。

吉岡氏:スティーブさんの処女作以来のファンです(笑)。書籍で読み、壁にぶちあたったときなどはかなり勇気づけられたものです。 十数年経過した今でさえ、時折読み返す私のバイブルです。

――恐れ入ります。稚拙なことを書いていたので、お恥ずかしい限りです(笑)。そもそも僕の本を見つけていただいたのは、我々二人の共通の師である“B(バンブー)先生”こと竹生孝央氏のサイト上のことでした。

吉岡氏:ええ、あのサイトは当時とても人気がありましたよね。お陰様で、今ではB先生とも時々飲める仲になりましたが、当時僕は純粋に読者で、ほとんど発言できませんでした(笑)。

――そうでしたっけ。忘れてしまいましたが、数年前に初めてお会いしたときは、とても初対面とは思えない感じで飲めましたよね。

吉岡氏:ええ、これも何かのご縁でしょう。

――ありがたいことです。では先ずは乾杯といきましょう!

早速ですが、お仕事についてお話をお聞かせください。まず、「ロハコ」という名前の由来を教えていただけますか。

吉岡氏:Lots of Happy Communities の頭文字をとってLOHACO(ロハコ)としました。コンセプトは、”くらしをかるくする”というもので、日用品や調味料、水、お米など最短当日で自宅にお届けすることで、家事もこなす30代、40代の働く女性を応援していきたいと考えております。

――“軽い生活”ですか。

吉岡氏:そうです。特に働く女性にとっては、日常的な買い物という行為は、物理的にも心理的にも”重い”ものだと思います。買い物する時間のないお客様にECで手軽に、かつ安心して日用品をお求めいただきたいのです。朝の通勤時間にスマホで注文していただき、夕方には品物が自宅に届いているというイメージです。

――なるほど、それは便利ですね。なぜ、30, 40代の女性を対象としているのでしょうか。

吉岡氏:今後、高齢化の進展に伴いさらなる女性の社会進出が不可欠となっていきます。既婚、未婚にかかわらず、一番活力のある世代の働く女性を日常的にサポートしていきたいというのが我々の理念でして、買い物の仕方が変わってしまうような新しい購買スタイルを提案していきたいのです。これにヤフーが共感してくれました。これまで我々は法人向けの商売をしてきましたが、これから法人向けと個人向けの垣根は急速になくなっていくでしょう。そうした変化を踏まえ、ヤフーから330億円の出資を受け入れ、最強のタッグを組んで“日用品EC事業のナンバーワン企業”を目指しております。

――“働く女性を支えていく”という点、とても共感します。さて、ECの世界では、「80対20の法則」が効かず、いわゆるロングテール効果、つまり売れ筋商品以外の商品の拡充が収益源になるといわれています。

一方で店舗ビジネスと同じ“客単価を増やす”という目的はECにも当てはまります。客単価を増やすには、単価の高い売れ筋商品にフォーカスするというのも一つの戦略かと思われますが、ロハコは、単価の高い家電製品等ではなく、日用品コモディティに焦点を絞ったサービスと理解しております。

コモディティは、その性質上、価格競争に巻き込まれやすく、巻き込まれた場合は、原価低減と薄利多売で儲けるしかないのでしょうが、そのあたりの制約をどう克服していくのでしょうか。特に「ロングテールの品揃えの拡充」と「在庫保有コストの低減」のトレードオフをどのように管理していくのでしょうか。

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