2014年12月号

Special Report

コピー市場にコスト革命 インクジェット複合機の新サービス

北村光一(エプソン販売 販売推進本部 BP MD部部長)

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オフィスにおけるコピー機市場は年々競争が激化、プリント単価も下がりつつある。エプソン販売はこの市場に月1万円のチャージ制を導入し、今年8月から参戦。新型インクジェット複合機でのビジネス市場の獲得に挑戦している。

エプソン販売は2014年8月に、ビジネスインクジェット複合機の新プリントサービス「スマートチャージ」の提供を開始した。一般的なコピー機に対し、本体リース料とランニングコストである消耗品、保守サービスをすべて含んで月々1万円という低額から使える。導入コストも搬入・設置を希望しない場合はゼロで、トータルなコスト削減に寄与する商品だ。エプソン販売は1983年設立、セイコーエプソンの情報関連機器を主に販売しているが、今回のような月々のチャージによるビジネスは初めてだ。

コピー機市場への新たな挑戦といえる内容だが、サービスが生まれた背景について、販売推進本部BP MD部部長の北村光一氏はこう語る。

「国内のオフィス環境においては、コピー機の1枚当たりの単価は年々下落。現状、カラー1枚10円、モノクロ1枚2円という低コストが当たり前となり、お客さまから見ればプリンターで出力する必然性はなくなっています。そんなときに次世代のインクジェット技術の開発が進み、既存の複合機に対抗できる目処が立ったことから、新サービスをスタートさせました」

北村 光一 エプソン販売 販売推進本部 BP MD部 部長

ライバルに対抗する「高速・高精度」

今回提供される複合機には、2013年にセイコーエプソンが発表した次世代のインクジェット技術「プレシジョンコア」が採用されている。マイクロTFPという新ヘッドを使用し、高速、高精度な印刷を可能にした。 印刷精度はレーザープリンターやコピーに対抗でき、印刷速度もカラーコピーで1分24枚という高速だ。インクも水に弱い染料インクではなく、水に強く、にじみにくい顔料インクが使われている。

平均40%~50%のコストを削減

これで製品は整ったわけで、次に販売戦略となるのだが、実はここに問題があった。コピー機市場で現状、多いのは月々で契約額を払うチャージ型。しかし、エプソン販売ではチャージ型でのビジネス経験がなかったのだ。ユーザーにすれば、月々のチャージ料金による契約はメリットが多い。一括でハード料金を払う必要もなく、リース契約を組む必要もない。通常、物品購入の際は社内稟議も必要となるが、その手間が削減される。

「これまでは商品を届けて、消耗品を買っていただくビジネスモデルでした。物販ではない利用料をいただくビジネスモデルはこれまで社内になく、新たにインフラの構築を行い、販売に備えました」

こうしてエプソン販売はハードと販売戦略、2つの武器を得て、コピー市場への参戦となったのだ。 8月からすでに販売は開始されているが、ユーザーの反応はどうなのか。

「ユーザーからのお問い合わせは、やはり、どれくらいコストが下がるかというものが多いですね。ユーザーにはハードウェアを購入もしくはリースされ、それに月々の印刷利用料を支払う形式で、月1000枚~5000枚の利用が多いのですが、それで計算すると平均40%~50%のコスト削減となります。大変好評いただいています」

ここで利用プランを見てみよう。コースはモノクロ中心のスタンダードから、カラープリント中心のフルカラーまで4種類ある。基本印刷枚数があり、月1万円のプランで「モノクロ2000枚、カラー600枚」と「モノクロ1000枚、カラー1000枚」の2種類。月1万2000円のプランで「モノクロ2400枚、カラー720枚」と「モノクロ1200枚、カラー1200枚」の2種類。

ただし、5年契約が必要で、中途解約の場合は違約金が発生する。通常、月1000枚で小売業、小スペースの事務所の利用レベル。ボリュームゾーンは月3000枚程度までで、同社は超過従量料金を含め月5000枚利用までをターゲットとしている。

また、料金だけでなくサービスで特徴的なことは、利用の手間が徹底して省かれた点にある。インク代金や保守サービスは利用料に含まれるオールインワンで、インク交換作業も不要だ。

「インクは7万5000枚まで印刷可能な大容量顔料インクを搭載しており、ベーシックプランのユーザーであれば5年間でモノクロを1度交換する程度。インク交換も、インク切れ近くになると自動的に販売店に通知が届き、担当者が出向きますので手間はかかりません」

スマートチャージは、コンパクトな設計となっており、省スペースで済む。上はベージックタイプ

年40万台のコピー機市場に挑む

ハードも耐久性に優れており、1台で30万ページの利用が可能だ。月5000枚でも5年間は変える必要がない。また、インクジェット方式は、構造がシンプルで故障が少ない点もメリットといえる。

「故障があっても、現場への電話指示だけで直せることも多い。保守で出向くのは、一般的な使い方で1年半から2年間くらいに1度出動がある程度ではないかと想定しています」 特長はまだある。低消費電力であり、電気容量の少ないマンションでも使える。

また、エプソン販売の既存のカラーページ複合機と比べ、CO2 排出量が約95%低減され、環境にも配慮。また、最新プリント機能も搭載され、スマホやタブレットから印刷でき、クラウドサービスとの連携も容易だ。現在、ユーザーの評判も上々で契約数も順調に伸びているということだが、今後、市場における目標はどのあたりに置いているのだろうか。

「カラーコピー機は国内で年間約40万台程度が出荷されています。その中でまずは5%のシェアを目指し、そこから拡大させたいと思います」 これまで少なかったインクジェット複合機のビジネス利用が、どこまで市場を獲得するか。行方に注目したい。

インク代金や保守サービスは利用料に含まれるオールインワンで、インク交換作業も不要。インクは7万5000枚まで印刷可能な大容量顔料インクを搭載しており、ベーシックプランのユーザーであれば5年間でモノクロを1度交換する程度で、頻度が少ない。さらに、インク切れ近くになると自動的に販売店に通知が届き、担当者が来て交換するため手間がかからない

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